Q1◇老後資金づくりに純金積立はどうですか?
基本的に金は教育資金や住宅資金など、使用時期や必要額が明確な資金作りには不向きということは先に述べました。では、老後資金はどうでしょう。長く積み立てれば、自助年金のような役割を果たしてくれるでしょうか。ファイナンシャルプランナーの野尻美江子さんに聞きました。「老後資金も大切なお金。元本保証ではなく、利息も生まない純金積立にすべてを託すのはリスクが大きすぎます。しかし、金の特性を理解して、その一部を金で持つことはいいかもしれません。とくに経済、金融の先行きが不安で仕方がない。そんな人には、金の安心感は大きな支えになるはず。それが他の金融資産にない、金の大きな魅力でもあります」
Q2◇売り時はどう判断すればいいですか?
金価格は絶えず変動しています。毎月一定額を買っていく純金積立は、その価格変動リスクを抑える効果もあるわけですが、価格低下が続けば何かと不安になるもの。手放す=売り時はどう判断すればいいのでしょうか。「価格の変動だけで判断するのは早計です。ポイントは目先の価格より世界情勢。欧米の経済が持ち直してきたら金価格も徐々に下がり始めることが考えられます。また、同時にチェックしておきたいのが新興国の動向。金価格が下がっても、新興国を中心とした買いが入ってこない局面になるとすれば、金が大きく値を下げるキッカケになりかねません」
Q3◇金ETFや金鉱株は純金積立とどう違う?
金投資は純金積立だけではありません。そのひとつが金ETF。ETFとは投資信託の一種で、証券取引所で売買されるのが大きな特徴です。発行額と同等の金を保有するETF、金価格と連動するよう公社債に投資するETFなど、現在、5つが上場(表参照)しています。また、金鉱株は金をメインとする貴金属採掘・精錬企業の株式のこと。個別銘柄への投資以外に金鉱株を組み入れた投資信託(ゴールドファンド)があります。
「金ETFの中には流動性の高いものもあり、株式経験者にはなじみやすく、おススメです。一方、金鉱株は金投資とは別物と考えた方がいいでしょう。金価格とも連動しますが、個々の企業業績が大きく影響し、より投資の要素が強くなります」
監修/野尻美江子(ファイナンシャル・プランナー) 取材・文/清水京武