「資格をもっている・いない」は資産運用成功に関係がない
ときどき、「投資で勝つために会計の知識は重要ですか」と聞かれることがあります。そして、「あなたは米国公認会計士や日商簿記1級の資格を持っているから有利なのでしょう」と言われることもあります。しかし、断言します。会計の知識はまったくなくても大丈夫です。確かに私は日商簿記1級と米国公認会計士の資格を持っていますが、そんな知識を投資で一度も使ったことはありません。というか、投資で利益を出せるかどうかには、あまり関係ないと思っています。私はローソク足のヒゲの意味をしらないし、ボリンジャーバンドや移動平均線など、いわゆるテクニカル分析の手法はまったく知りません。数値の読み方も知らないですし、当然ながら使ったこともありません。
私たちは、アナリストでもなんでもありませんから、マーケットの分析なんてできなくても問題ありません。それよりも、「これ、明らかに安すぎるでしょ」「高いすぎるでしょ」というのがわかればいいだけです。つまり、常識的な感覚があればいいということです。
そして、時間の経過とともに、妥当な価格に収れんしそうなシナリオが描けるならば、「買い」を入れるだけです。(逆に高すぎると感じるなら、「売り」から入る)
不動産投資も同じです。ROIとか難しい計算をする人もいますが、賃貸物件はそもそも人間が住む住居です。部屋を借りる人は、数字どおりに動くわけではありません。静けさとか、駅からの距離とか、間取りとか、数値では評価できない基準で人は物件を選びます。小難しい計算を振りかざしても、投資家の自己満足であって、実際にはほとんど機能しません。
物件を選ぶ際の数値は、とても簡単です。いくらお金を投下して、いくら手元に残り、それが何年続くか、何年後にだいたいどうなるか、ということをシミュレーションするだけです。そんなのわからない?でも、わかるものもあります。修繕費はだいたい予測できますし、賃貸サイトを見れば、将来の家賃水準がわかります。
そうやってシミュレーションし、手元に残る金額が納得できるなら、実際に現地を見て、生活者の視点で物件を選べばいいのです。