日本地ビール解禁の扉を開けたサンクトガーレン
まずは、麦芽は細かく砕かれ、お湯と一緒に麦汁となる。
1970年代、岩本社長の父上が日本では当時珍しかった飲茶店を経営しており、1980年代にサンフランシスコに出店した際、アメリカのクラフトビールのおいしさに出会い、感激。伸久氏も現地店の手伝いをしながら地ビールバーを巡り、徐々に父子ともに醸造に興味を持っていった。
マッシュタンと呼ばれる容器で糖化作業が行われ、その後煮沸する。ホップはこのタイミングで。
つまり、財務省や税務署の見解は、「日本に小規模ビールメーカーは必要ない」ということであったのだ。
しかし、時代は彼らに味方した。アメリカで父子が運営する地ビール店が「TIME」や「News Week」に掲載されたことが契機になり、またアメリカの日本への規制撤廃要求が1993年宮澤内閣に届き、翌94年の細川内閣の際の規制緩和につながったのだ。
その後、冷却しつつタンクで発酵をさせる。
個性がある、しかし飽きないの日本のクラフトビール
こちらは熟成したペールエール。美しい輝きときめ細かい舌触り。麦芽の旨味を十分に楽しめるゴージャスな味わいだ。
シンプルだけど飲むほどに味わいが深まるロングセラーの「ゴールデンエール」はアメリカで最初に造ったビールだ。香ばしさと心地いい苦みの「アンバーエール」、濃厚だけどなめらかでクリーミーなブラウンポーター、麦芽の旨味とホップがきいた「ペールエール」などの定番商品のほか、ビターな余韻が通好みの「YOKOHAMA XPA」、神奈川県産オレンジを使った「湘南ゴールド」、400個の焼きリンゴを使った「アップルシナモンエール」、ワインのように熟成させて飲む「麦のワイン」(ビールですよ)や「小麦のワイン」(これもビールですからね)など限定商品も多彩。
ただ奇をてらった商品ではないことは、ジャパン・アジア・ビアカップやインターナショナル・ビア・コンペティション(国際ビール大賞)、モンドセレクションなどで数々の受賞を果たしていることからもよくわかるし、ヘビーユーザー・愛好家にしっかり支えられていることがなにより品質の良さをあらわしている。