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イチロー、総額1300万ドルでヤンキース残留へ

FAとなっていたイチロー外野手が、ヤンキース残留で合意した。大幅減俸にでもヤ軍を選んだイチロー。そこには彼の、ヤンキースに対する強い感謝の気持ちがあった。

瀬戸口 仁

執筆者:瀬戸口 仁

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ヤンキースの一員として目標達成へ

大幅減俸でもヤ軍を選んだイチロー。世界一とメジャー通算3000安打を目指す

大幅減俸でもヤ軍を選んだイチロー。世界一とメジャー通算3000安打を目指す

ヤンキースからFA(フリーエージェント)となっていたイチロー外野手(39)が12月14日(日本時間15日)、残留で合意した。2年契約で、総額1300万ドル(約10億6600万円)。最終的にはフィリーズ、ジャイアンツなど3球団の争いになったが、提示額が最も低いヤ軍を選んだ理由は、今季果たせなかった「ピンストライプで自身初の世界一」という目標達成と、2014年シーズンにも到達可能なメジャー通算3000安打をヤ軍の一員として挑みたいためである。

マリナーズGM時代にイチローをオリックスから獲得したパット・ギリック氏が球団社長とGM特別顧問を務めるフィリーズが、2年総額1400万ドル(約11億4800万円)を提示した。今季世界一のジャイアンツは2年総額1500万ドル(約12億3000万円)をオファーした。これに対し、ヤ軍のオファーは2年総額1300万ドル。当初は1年500万ドル(約4億1000万円)前後といわれていたことに比べればアップしたものの、今季の年俸が1700万ドル(約13億9400万円)だった男にとって、大幅減俸に違いなかった。それでも一番安いヤ軍を選んだところにイチローの心意気が感じられる。

イチローは、プレーオフでタイガーズに敗れて今季が終了した試合後、「本来持っている気持ちを思い出させてもらった。この場所には感謝しかないです」とヤ軍への恩義を口にした。また、7月の移籍後から一貫してヤ軍に居心地の良さを感じていた。そこには、「ピンストライプで自身初の世界一」という強い思いが生まれていた。だからこそ、年俸が大幅に下がっても、残留を最優先に考えていたのである。

2年契約の意義は大きい。メジャー通算3000安打に残り394本に迫っている。日本人メジャーリーガー初というだけでなく、大リーグ史上でも28人しかいない大台。この大記録にヤ軍の一員として到達するのは特別な意味がある。ヤ軍で3000安打を達成したのは昨年のジーターが初めてで、500本塁打はルースら3人、300勝投手もクレメンスだけと、在籍時に「大台」を迎えられた選手は意外に少ない。残り394本のイチローは、2年あれば到達可能圏内。順番でいうと、2901安打のA・ロドリゲスが先だろうが、同一チームに3000安打トリオ誕生となれば、史上初の快挙であり、ヤ軍にとってもこれ以上ない集客材料となる。

40歳になってもピンストライプのユニホームを着ることになったイチロー。最後の栄誉は、世界一のリングだけだ。
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