ヤンキースの一員として目標達成へ
大幅減俸でもヤ軍を選んだイチロー。世界一とメジャー通算3000安打を目指す
マリナーズGM時代にイチローをオリックスから獲得したパット・ギリック氏が球団社長とGM特別顧問を務めるフィリーズが、2年総額1400万ドル(約11億4800万円)を提示した。今季世界一のジャイアンツは2年総額1500万ドル(約12億3000万円)をオファーした。これに対し、ヤ軍のオファーは2年総額1300万ドル。当初は1年500万ドル(約4億1000万円)前後といわれていたことに比べればアップしたものの、今季の年俸が1700万ドル(約13億9400万円)だった男にとって、大幅減俸に違いなかった。それでも一番安いヤ軍を選んだところにイチローの心意気が感じられる。
イチローは、プレーオフでタイガーズに敗れて今季が終了した試合後、「本来持っている気持ちを思い出させてもらった。この場所には感謝しかないです」とヤ軍への恩義を口にした。また、7月の移籍後から一貫してヤ軍に居心地の良さを感じていた。そこには、「ピンストライプで自身初の世界一」という強い思いが生まれていた。だからこそ、年俸が大幅に下がっても、残留を最優先に考えていたのである。
2年契約の意義は大きい。メジャー通算3000安打に残り394本に迫っている。日本人メジャーリーガー初というだけでなく、大リーグ史上でも28人しかいない大台。この大記録にヤ軍の一員として到達するのは特別な意味がある。ヤ軍で3000安打を達成したのは昨年のジーターが初めてで、500本塁打はルースら3人、300勝投手もクレメンスだけと、在籍時に「大台」を迎えられた選手は意外に少ない。残り394本のイチローは、2年あれば到達可能圏内。順番でいうと、2901安打のA・ロドリゲスが先だろうが、同一チームに3000安打トリオ誕生となれば、史上初の快挙であり、ヤ軍にとってもこれ以上ない集客材料となる。
40歳になってもピンストライプのユニホームを着ることになったイチロー。最後の栄誉は、世界一のリングだけだ。