師匠を越えたといわれる立川談春さんの演目
立川談春さんの落語演目として欠かせないのは「芝浜」です。師匠の立川談志さんを越えたのではないかと言われるほどです。
「芝浜」をめぐっては、大変な苦労があったようです。くわしくはエッセイ『赤めだか』をご覧ください。
■演目「芝浜」
あらすじ:やればできるはずの男、魚屋の勝が、女房にたたき起こされ、いやいや仕事場である魚市場に向かうところから話が始まります。
偶然にも芝浜で財布を拾い、大喜び。仲間を呼んで大宴会を開いた次の日、「財布を拾ったのは夢だった」と女房から聞かされます。慌てて財布を探す勝ですが、家中どこにもないので諦めるしかありません。
しかし、ここで心を入れ替えて仕事に精をだすのです。必死で働いた末、生活は安定し、店を構えることができました。そして3年後、女房がある告白をするのです。
それは、例の「財布を拾った」のは現実だったこと。大金が入った財布は、落し物として役所に届け出たが、落とし主がでてこなかったので勝のもとに大金とともに戻ってきたこと。
妻のその告白を、勝は責めることなく「自分を立ち直らせてくれた」と感謝し、久しぶりにおいしい酒を飲むのでした。
妻が大晦日に「告白」したことから、年末に演じられることが多い演目です。
2005年放送『タイガー&ドラゴン』(脚本:宮藤官九郎さん)の第一話として取り上げられました。
■演目「文七元結(ぶんしちもっとい)」
みどころ:1時間20分近くの長い演目ですが、その時間を感じさせないほどの熱演です。胸があたたまる人情話で、分かりやすいので、落語になじみがない人もとっかかりやすいと思います。
始まりが夫婦の大ゲンカなのに対し、最後は娘のハッピーエンドで終わると言うところが好きです。
■演目「明烏(あけがらす)」
みどころ:私が一番好きなのは、「堅物」の息子をめぐる父親と母親の考え方が違いすぎるところです。
父親は「お前は堅物で世間知らずだ。いずれ日向屋をつがなければならないのに」と嘆いているのに対して、母親は息子の帰りが遅いだけで泣いてしまうほどの心配性。この考え方のちがいが息子にどう影響していくのかを聞くのがおもしろいですよ。