犬にとって迷惑な内部寄生虫の種類・原因・対策」では内部寄生虫についてまとめてみましたが、今回は体の外部につきまとう外部寄生虫についてです。

外部寄生虫の種類と原因および症状

草むらで遊ぶ犬

草むらや、自然豊かな場所で遊んだ後には、被毛や皮膚のチェックは忘れずに

体につく外部寄生虫によって生じるトラブルには、以下のようなものがあります。

ノミアレルギー性皮膚炎

【原因】
ノミが寄生することにより、吸血する時の刺激やノミの唾液、排泄物が原因となって主に寄生箇所に症状を引き起こす。ノミが寄生しやすい場所は、シッポの付け根や裏側、背中から腰にかけて、耳の周り、股およびお尻の周りなど。犬に寄生するノミとしてはイヌノミやネコノミなどがあるが、ネコノミの寄生が多い。

【症状】
痒み、丘疹、紅斑など。激しい痒みがあり、皮膚を咬んだり、掻き壊したりすることもある。その結果、二次感染を起こすことも。慢性的になると脱毛やフケ、皮膚が厚くなるなどの他、色素沈着を伴った皺状の皮膚形成が見られるようになり、重度の場合では貧血症状が出ることもある。特に、幼犬に大量のノミが寄生した時には要注意。

【治療と予防】
被毛の根本や皮膚に黒い粒々のようなものがあったなら、それはノミの排泄物かも。すでにノミが寄生している可能性がある。ノミは「人と動物との共通感染症」の1つでもある瓜実条虫の中間宿主にもなる上、潰すと卵が飛び散ることもあるので、ノミが見つかった場合には潰さずに、ガムテープに貼りつける、熱湯に落とすなどして処理をしたほうがよい。その後、ノミ取り効果のあるシャンプーをする、ノミ避け剤(スポットオン式やスプレー式、首輪タイプなど)を使用する、ノミ避け効果のあるアロマやサプリメントを使用する、生活場所を掃除して清潔に保つ、などの予防対策を。ノミの卵は絨毯の中やクッションの裏側、家具の後ろなど普段掃除が行き届かないようなところに潜んでいることがある上、ノミのサナギは乾燥にも強く、半年以上生き延びることも可能なので、暖房環境が整った現代では冬場でもノミ対策は気を抜かずに行いたい。

ダニ麻痺

【原因】
ある種のダニには吸血時に神経毒を出すものがある。主にオーストラリアやアメリカ北西部、カナダ南西部に多いとされる。

【症状】
初期には吠え声の変化、咳、嚥下困難などが見られ、後半身の麻痺から始まって、それは前半身の麻痺へと広がり、起立不能に陥る。その他、呼吸困難や嘔吐の症状が見られることもある。

【治療と予防】
ダニの除去をするとともに、状態に合わせた治療が施される。国や地域によるダニの種類によって違いがあるらしく、回復するものもあれば、血清が必要であったり、予後が不良となったり、最悪は命を落とすこともあるようだ。

マダニによるアレルギー性皮膚炎および貧血

【原因】
マダニの寄生。

【症状】
ノミアレルギー性皮膚炎と同様、マダニに寄生されることによってマダニの唾液がアレルゲンとなり、強い痒みが出ることがある。大量に寄生された場合には貧血症状が出ることもある。

【治療と予防】
皮膚症状や貧血には対処療法をし、ダニの除去をするとともに、ダニ予防対策を。ダニを除去する際は、むやみに引っ張ってしまうとダニの口先が皮膚の中に残り、さらなる炎症や感染症を呼んでしまうことにもなるので、アルコールに浸した脱脂綿でダニを麻痺させてから取る、専用のダニ取り器具で除去する、自分で無理な場合には動物病院で取ってもらう、などの対処が必要。何より、草むらや、自然環境豊かな山間部などに出かけた時は被毛や皮膚のチェックを忘れないように。また、ノミ同様、普段から定期的なダニ予防を心がけたい。

 

マダニによる感染症

【原因】
マダニの寄生。

【症状】
マダニの怖いところは、上記のアレルギー性皮膚炎や貧血などの他に種々の感染症を引き起こすことがあるということ。「犬にとって迷惑な内部寄生虫の種類・原因・対策」の記事でも紹介したバベシア症をはじめ、「人と動物との共通感染症」であるライム病(発熱、関節痛、痙攣など)やQ熱(発熱、流産など)、ダニ媒介性脳炎(発熱、頭痛、嘔吐、痙攣など)、日本紅斑熱(これといった症状が出など)などが存在する。

【治療と予防】
ダニの除去とともに、各症状に対する対処療法。その後はダニ予防対策を。

疥癬(かいせん)症

【原因】
イヌセンコウヒゼンダニが寄生し、それが皮膚に潜り込むことで炎症が起こる。

【症状】
ダニの唾液や排泄物によって丘疹や紅斑、激しい痒み、出血、脱毛、皮膚が厚くなる、ただれなどの症状が見られる。好発部位としては四肢の先端、顔、耳介、腹部および下腹部など。人にもうつることがある。

【治療と予防】
検査をした後、薬用シャンプーや薬浴、注射、内服薬などで治療。特に抵抗力の弱い赤ちゃんや高齢者には伝染する可能性が高くなるので注意が必要。人では腕や頬、胸など柔らかい部分に発症することが多いとされる。生活環境を清潔に保つのはもちろん、使っていたバスタオルやクッションなどは消毒したり、処分したりするのがよい。

耳疥癬症

【原因】
ミミヒゼンダニの寄生によって発症。

【症状】
このダニは耳の中の表皮や耳垢などを食べて生活し、繁殖する。寄生されると、激しい痒みのために首を振ったり、眠れなくなることもある。耳の中には赤褐色の耳垢が見られ、場合によっては炎症部位周辺および頭部にまで脱毛や湿疹が見られることもある。

【治療と予防】
検査をした後、耳の中を洗浄し、殺ダニ効果のある薬を使用して治療する。二次感染がある場合には、各症状に対する対処療法を行う。普段から定期的に耳そうじをすることで予防を。特に、耳が垂れた犬種では通気性が悪い分、耳の炎症を起こしやすくもあるので耳のケアは怠らないようにしたい。疥癬症と同じく他の犬にもうつるため、治るまでの間は感染犬と無闇に接触させないなどの注意も必要となる。

ツメダニ症

【原因】
ダニの中でも小型のツメダニが寄生することによって皮膚炎症を引き起こす。

【症状】
特に背中から腰にかけて、耳、シッポ、股の周囲などにフケをともなう痒みが見られる。人にもうつることがある。

【治療と予防】
薬用シャンプーや薬浴、殺ダニ効果のある薬の投与などで治療をする。直接的な接触の他、ブラシやリード、バスタオルなど共通のものを使用することでうつることもあるので、感染犬と無暗に接触させない、多頭飼育の場合には使用するものを分けるなどの対処を。

毛包虫症(アカラス、ニキビダニ症)

【原因】
原因となるのはイヌニキビダニ。実は、このダニは多くの犬に普通に寄生しており、健康な犬ではなんの症状も出さないのであるが、免疫力や抵抗力の低下などによって増殖し、病気症状を引き起こす。成犬の場合は、甲状腺機能低下症やクッシング症候群のような他の病気が関連していることも多いと言われる。

【症状】
毛包虫症は局所性のものや全身性のものがあり、脱毛やフケ、発疹などの他、重度になると皮膚病状態が悪化し、痒みや痛みを伴うことも。

【治療と予防】
検査の後、駆虫薬を使用して治療するが、いずれにしても治療には数ヶ月以上かかり、再発を繰り返す場合は長期となるため、根気を要する。

シラミ寄生症

【原因】
イヌジラミ、イヌハジラミなどが皮膚に寄生することによる。その爪や吸血、分泌物質の刺激を受けて症状が現れる。

【症状】
激しい痒みや切れ毛、脱毛、紅斑など。

【治療と予防】
駆虫薬や薬浴などで治療。


病気の種類くらいは知っておこう

体をかく犬

中には重篤な状態になってしまうケースもあるため、寄生虫についても基本的な情報は知っておきたい

たかが小さな虫。されど、大きな病気にもつながることがある虫。あなどれませんね。寄生されることによってどんな病気になってしまうのか、その種類や内容を少しは知っておくことも大事ではないでしょうか。そうすれば、予防にももっと力が入るはずです。

何より大事なのは、可愛い愛犬の健康を守るために、病気の予防を心がけること。

なお、愛犬に痒みや皮膚の炎症、脱毛など何か気になることがある場合には、なるべく早めに動物病院で相談なさることをお勧めします。


関連記事:
犬のフィラリア症、ノミ、ダニの予防と対策
犬にとって迷惑な内部寄生虫の種類・原因・対策

参考資料:
主要症状を基礎にした 犬の臨床/デーリィマン社
NIID国立感染症研究所「人獣共通感染症」
Companion Vector-Borne Diseases「Tick-Bome Diseases」「Zoonosis」   など


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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。