私の考えを180度変えた「iPad mini」最大の魅力
「iPad mini」のスペックに対して中途半端という印象を持っていた私ですが、しかし実際に製品を手にし、使ってみて、その考えは180度変わりました。確かに「iPad mini」は、片手でぎゅっと掴むには少々大きいのですが、その分、とても薄くて軽い。厚さはわずか7.2mm、重さはWi-Fiモデルの場合で308gしかありません。また、これまでの「iPad」と比べてみるとわかりますが、「iPad mini」では画面周囲の額縁部分がとても狭くなっています。縦横のサイズは200×134.7mmで、198.5×120mmの「Nexus 7」と並べても、画面サイズの差ほどは本体の大きさに差がない。つまり他の7インチタブレットと同様に、携帯性がきちんと担保されているワケです。
「iPad」「iPad mini」「Nexus 7」を並べて見ました。額縁部分が狭いため、7インチの「Nexus 7」と比べても、あまり大きさが変わらないように見えます。
一方で7.9インチというのは、従来の「iPad」の9.7インチと画面の縦横の比率が変わりません。また「iPad mini」の1024×768ピクセルという解像度は、昨年春に発売された「iPad 2」と同じ。つまり「iPad mini」では、「iPad」の大きな画面に最適化された従来からあるアプリが、レイアウトが崩れたりすることなく、そのまま丸ごと利用できるのです。後ほど詳しく紹介しますが、これこそが「iPad mini」が他の7インチタブレットに比べて、最も秀でている点です。
Android OSを搭載したタブレットを使ったことのある人は経験があると思いますが、Android用のアプリの中には、タブレットで表示するとレイアウトが崩れてしまうものがあります。Android OSはいろんなメーカーのいろんな機器で採用されているため、機器によって画面サイズも縦横比も解像度も、さらには採用しているOSのバージョンもバラバラ。そのためアプリマーケットの「Google Play」には、アクセスしている機種をチェックして、アプリがその機種に対応しているかどうかを判断する機能が備えられています。
ただし対応機種だと判断されても、レイアウトが崩れずに見やすく、使いやすいベストな状態で表示できるかどうかは、実際にアプリを立ち上げてみるまでわかりません。Android向けのアプリの多くは、スマートフォンの画面サイズに最適化されているため、前述のようなレイアウトが崩れてしまう現象が、しばしば起こるからです。私が「Nexus 7」で試したアプリの多くもスマートフォン向けのもので、7インチのサイズにあわせて単純に拡大表示されているといった印象でした。
一方でiOS用のアプリに目を向けると、アプリマーケットの「App Store」には、「iPhone」向けと「iPad」向けのアプリが別々に登録されています。「iPad」向けのアプリは、当然ながら9.7インチの「iPad」の画面に最適化されていて、その数は世界で27万5000以上。そして「iPad」と画面の縦横比も解像度も同じ「iPad mini」では、このアプリをそっくりそのまま使うことができます。これはAndroidを搭載したタブレットに対して、とても大きなアドバンテージだと言えるでしょう。
次ページでは「iPad mini」でのアプリの見え方を紹介します。