反対意見も噴出。実際、どうなる?
安倍総裁のこの大胆な政策は、すでに多くの反対の声も出ています。例えば、米倉経団連会長も「無鉄砲だ」と批判。反対派が最も懸念しているのが、無制限金融緩和によって日本に深刻なインフレが起こること。確かに、可能性としては存在します。あるいは、物価が上がるのに景気は悪いままという、スタグフレーションになる可能性もあるでしょう。
しかし、数百兆円に及ぶ金融緩和をしているのに、アメリカではそれほどインフレにならず、資金が流入している株や先物などが上がり続けています。株はともかく、食糧や原油などの先物価格が上がると、庶民の生活は今後直撃を受けます。これをインフレと呼ぶのかどうか、日本でも同じことが起こるかどうか、判断が非常に難しいところです。
実行は可能なのか?
この政策は実行性もかなり疑問が残ります。そもそもまだ自民党が選挙で勝ってすらいないのですが、まずは「総選挙で自民党が与党になった」と仮定してみましょう。この時点では衆議院で過半数を押さえているだけで、参議院では公明党を合わせてもまだ100議席程度。これでは、参議院で法案が通せません。当然、日銀や米倉会長などを中心とした財界からの抵抗も考えられます。その状況で日銀法の改正や、無制限金融緩和といった政策を実行するのはかなりの難しさが伴うでしょう。
来年夏の参院選で自民党が過半数になれば、比較的やりやすくなるかもしれませんが、まだまだ先のこと。 日本経済は、ずっとデフレから抜け出せない状態です。これを打開するためには、その実効性はさておき、安倍総裁の提案する無制限金融緩和のような大胆な政策もあるかもしれまん。各政党から、どのような提案が出てくるのでしょうか。総選挙の大きなテーマにもなりつつある、景気対策。ぜひ注目してほしいところです。