菊地シェフにお薦めのお菓子をお伺いしたところ、真っ先に挙がったのが「モンブラン」。こちらは、フランス産のマロンペーストを使い、土台にシナモン風味のサブレを使っているのが特徴です。マロンクリームの中には、生クリームと渋皮煮のマロン、そしてクレームダマンドが絞られています。シェフはシナモンがお好きだそうで、フランス産の濃厚なマロンペーストとの相性を楽しんでほしいという、オリジナリティあるモンブランです。
また、スペシャリテの一つ「ルージュ」は、ホワイトチョコレートのムースの中に、フレーズ・デ・ボワ、フランボワーズ、苺という赤いフルーツ類のやわらかいジュレと、ベリー系の酸味を持つと言われるヴァローナ社のチョコレート「マンジャリ」にフランボワーズ風味をプラスしたムースショコラ入り。
見た目が白いので、なぜルージュなのかと不思議に思いますが、最初は赤色のピストレがけで全体を赤く仕上げようとやってみたところ、色彩が強すぎたため、上に赤いフランボワーズを飾るのみで、白で上品に仕上げたそうです。食べてみると、中に「ルージュ」が隠れているという訳ですね。白と赤の対比が鮮やかで、お客様にも人気が高いそうです。
菊地シェフオリジナルのケーキの中に、いくつか、修業時代の思い出深いケーキも並んでいます。「ガトーフロマージュ」は、「パークハイアット東京」時代、師匠の横田秀夫シェフから学んだお菓子の一つ。
元来、フランスでは、チーズはそのまま食べるのが普通で、チーズケーキが見られるのは一部の地域に限定されていたのですが、近年、パリにもチーズケーキやカップケーキの専門店がオープンするなど、アメリカ的なスイーツの文化が受け入れられるようになっています。こういったチーズケーキは、ある意味で最新のパリのモードを反映した「フランス菓子」とも言えるのです。
「ガトーショコラクラシック」や、グラス入りのマンゴープリン「マンゴーココ」(360円)も、同じくパークハイアット時代に作ったお菓子を、菊地シェフ流にアレンジしたもの。たとえば「ガトーショコラクラシック」は、パークハイアットの時には、ややほろ苦い味で大人向けでしたが、こちらはやさしい甘さで、カカオ分66%のチョコレートを使い、より食べやすくしたそうです。土台はグラハムクラッカーを砕いたものに胡桃を混ぜたものを敷き、ザクザクした食感が特徴です。
「スーヴニール」は、横田シェフが「菓子工房オークウッド」で出されている「ルラション」というケーキがベースになっています。マカロンショコラ生地の土台に、ムースショコラ、クロテッドクリームを贅沢に使ったクリーミーなムースを重ね、オレンジのコンフィとグランマルニエ酒が華やかな香りを添えています。
元の「ルラション」とは「出会い」の意味。イギリススタイルのバニラ風味のクリームと、フランス由来のチョコレートムースを合わせたお菓子のため、 英仏の“出会い”という意味で、横田シェフが名付けられたものです。
「パークハイアット東京で横田シェフに教えていただいた思い出のお菓子という思いを込めて、“スーヴニール”(思い出)という名前を付けました」と菊地シェフ。
このように、フランス菓子をベースにしつつ、日本ではおなじみの「シューアラクレム」や、いわゆるプリンの「クレムキャラメル」、ショートケーキの「シャンティフレーズ」(400円)なども並べ、幅広い層に受け入れられやすいラインナップでスタートした「レザネフォール」。今後、よりフランス菓子らしいアイテムや、ご自身のオリジナルのお菓子も少しずつ出していきたいそうです。
さらに、生菓子だけではなく、ぜひ召し上がっていただきたい焼き菓子アイテムも! 次のページをご覧ください。