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インフルエンザ・風邪予防にビタミンDは有効?

【薬剤師が解説】美肌と関連の深いビタミンCなどに比べ、なかなか注目されにくいビタミンD。実は健康な骨、免疫などに対して大事なはたらきを持っています。風邪・インフルエンザ予防・対策にも有効な、ビタミンDの正しい知識。多く含まれる食材、上手に摂るコツなどをご紹介します。

三上 彰貴子

執筆者:三上 彰貴子

薬剤師 / 薬ガイド

ビタミンD不足で免疫力が下がる?

ビタミンD

受験生やそのご家族は、ビタミンDに注目してみるとよいかもしれません

特に女性に不足しがちと言われるビタミンD。ビタミンCやビタミンBは肌荒れとの関連も言われるため、多くの方が意識して積極的に摂取しているかもしれませんが、ビタミンDも骨、免疫などに関わる非常に重要なビタミンです。

今回はビタミンDのはたらき・役割と上手な摂り方について、ご紹介します。

ビタミンDのはたらき・効果

ビタミンDのはたらきで一番有名なのは、骨を強くすること。ビタミンDは、腸管からのカルシウム吸収を促進するはたらきがあります。ビタミンDが足りないと、いくらカルシウムを摂取しても吸収されず排泄されてしまうのです。

また、免疫にも関与しており、東京慈恵会医科大学 浦島充佳先生の研究からも、冬の間ビタミンDを摂っていた子供は摂っていない子供に比べ、インフルエンザ発症率が半分近くまで抑え込まれたという結果が判明しています。風邪・インフルエンザをもっとも恐れる受験生、もしくは受験生のお子さんを抱える保護者の方には嬉しいはたらきですね。意識してビタミンDを摂ってみるとよいと思います。

がん予防にも、ビタミンDが有効にはたらくといわれています。たとえば、アメリカ人女性を対象にした調査で、「乳がん患者には血中ビタミンD濃度の低い人が多い」という結果が出ています。

最近の研究では、ビタミンDの受容体が全身のほとんどの組織から発見されており、体全体に必要なビタミンということもわかっています。つまり、体全体に関わるような動脈硬化、心臓病、糖尿病などの予防、それ以外にも、うつや認知症予防に有効とされているのです。

そして女性には特に嬉しいはたらきも。ビタミンD摂取量が多いとダイエット成功の割合が高まるというデータもあるのです。動脈硬化にも関係しますが、アンチエイジング効果もあるとの報告もあります。

食生活の変化でビタミンD不足傾向に……

前述のような様々な効果を得るためには、ビタミンDを1日1000IU(25μg)摂取することが推奨されています。キノコなどの野菜からも摂取することはできますが、効率がいいのは以下のような魚からの摂取です。
100g当たりのビタミンD (μg) アンコウの肝110 シラス干し61 イワシ丸干し50  ニシン50 イクラ44 カワハギ43 紅鮭33 イカナゴ21 サンマ19 ヒラメ18 数の子17 カレイ13 サバ11

100g当たりのビタミンD (μg)

  • アンコウの肝 110
  • シラス干し 61
  • イワシ丸干し 50
  • ニシン 50
  • イクラ 44
  • カワハギ 43
  • 紅鮭 33
  • イカナゴ 21
  • サンマ 19
  • ヒラメ 18
  • 数の子 17
  • カレイ 13
  • サバ 11
※100g当たりのビタミンD (μg)

ただ、食生活の変化で毎日のように魚を食べる機会は少なくなり、現状、必要摂取量に満たない状況にあります。特に女性は要注意! 下図調査でもその不足ぶりが問題になっています。
2012年9月、株式会社SOUKENが血中ビタミンD濃度を調査(必要十分と考えられる血中ビタミンD濃度は30ng/mL)。女性は約3人に2人が不足状態、4人に1人は欠乏状態という結果が判明した

2012年9月、株式会社SOUKENが血中ビタミンD濃度を調査(必要十分と考えられる血中ビタミンD濃度は30ng/mL)。女性は約3人に2人が不足状態、4人に1人は欠乏状態という結果が判明した

現実的には、サプリメントによる摂取が有効でしょう。市販されているビタミンD配合の主なサプリメントには、以下のようなものがあります。

ビタミンDを含む主な市販サプリメント

ビタミンDサプリメント

1.ネイチャーメイド スーパービタミンD(大塚製薬)。2.ディアナチュラ カルシウム・マグネシウム・亜鉛・ビタミンD(アサヒフードアンドヘルスケア)。3.ファンケル マルチビタミン(ファンケル)。4.カルシウム ビタミンD 大豆イソフラボン(小林製薬)


1.ネイチャーメイド スーパービタミンD(大塚製薬)
1日目安量1粒にビタミンDを1000IU配合の高含有タイプ。1粒で1日摂取量をカバーできる。

2.ディアナチュラ カルシウム・マグネシウム・亜鉛・ビタミンD(アサヒフードアンドヘルスケア)
骨や歯の形成に必要な栄養素を配合。1日目安量6粒にビタミンDを200IU配合。

3.ファンケル マルチビタミン(ファンケル)
ベータカロテン、ビタミンB群、D、Eなどを配合したソフトカプセル。1日目安量1粒にビタミンDを200IU配合。

4.カルシウム ビタミンD 大豆イソフラボン(小林製薬)
骨の形成を助けるカルシウム、ビタミンDに大豆イソフラボンを加えたタブレット。1日目安量5粒にビタミンDを110IU配合。

(※データは記事掲載時のもの。最新の情報は各メーカーページなどでご確認ください)

日光浴でも生成できるビタミンD

ビタミンD生成のために、適度な日光浴を

ビタミンD生成のために、適度な日光浴を

ビタミンDは、上述の食べ物から摂取する以外に、日光浴、厳密には紫外線を浴びることでも生成できます。この生成方法から、別名「サンシャインビタミン」とも呼ばれているほどです。量と時間は、おおよその目安として、真夏に顔と手が出ている状態で直射日光2分、日陰では30分程度、冬では直射日光15分、日陰で1時間程度といわれています。

といっても過度な日光浴は、シミ、皮膚がん、しわの原因にもなり、女性の多くは現実的にそこまで露出することはしないでしょう。ちょっと難しいかもしれませんが、手のひらは紫外線によるシミ、しわの影響がないので、手のひらだけ日光に15~30分程度当てるという方法もあります。

ビタミンDは無理なく自分に合った方法で摂取を

理想としては、日常生活での食事や日光浴でビタミンD不足を解消することが望ましいのですが、魚の摂取不足、室内でのこもり仕事、昼夜逆転生活などにより、多くの方はビタミンDが不足している状況にあるでしょう。生活習慣を変えることが難しそうな方は、サプリメントや補助食品で取り入れるのも方法の一つかもしれません。自分にあった方法で無理なく上手に摂取して、この冬を元気に乗り切ってください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
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