相続・相続税/生前贈与・贈与税の基礎知識

負担付贈与と低額譲受(2ページ目)

負担付贈与と低額譲受のどちらも実質的な利益があるため贈与税がかかります。その際、土地等は時価により計算されますので贈与税の負担が重くなっています。知らずにやってしまう前に確認しておきましょう。

執筆者:加藤 昌男

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低額譲受による利益

低額譲受による利益も土地等の価額は時価!

低額譲受による利益も土地等の価額は時価!

親族間では、「著しく低い価額」で土地などを売買することがありえます。この場合、贈与財産の価額(※)と支払った対価との差額が安く買った人のメリットになります。この差額が贈与により取得したものとみなされて贈与税が課されます。これを低額譲受による利益といいます。
(※)前述の負担付贈与の場合と同じです。土地等は時価になります。

■事例■父が子に土地(時価5000万円)を3000万円で売却した場合の低額譲受による利益
  • 子の贈与税の課税価格:2000万円=5000万円-3000万円
子が父から2000万円の贈与を受けたものとみなされました。

低額譲受の例外

著しく低い価額の対価で財産の譲渡を受けた人が、資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合に、その弁済に充てるためにその人の「扶養義務者」から譲り受けたものであるときは、その債務を弁済することが困難な部分の金額については、贈与により取得したものとはみなされません。
 

譲渡税も

負担付贈与、低額譲受のいずれも贈与者は土地を譲渡したことになります。従って、譲渡益があれば譲渡税がかかります。譲渡益は譲渡価額から取得費・経費を控除した金額です。負担付贈与と低額譲渡の場合の譲渡価額は、それぞれ下記の金額になります。
  • 負担付贈与……受贈者の負担額
  • 低額譲渡……受贈者の支払った対価
従って、前述の事例ではいずれも3000万円になります。

■取得費がなく、所有期間5年超の場合の譲渡税(所得税・住民税)
  • (3000万円-300万円(※))×20%=540万円
(※)取得費がない場合の譲渡価額の5%と経費を合わせて、譲渡価額の10%と仮定
 

高いコスト

以上のように、受贈者に高額な贈与税がかかります。さらに不動産については、名義変更の際に登録免許税・不動産取得税もかかります。贈与者にも譲渡益があれば譲渡税がかかります。従って、通常は相続対策では使えません。これらのルールを知らずにやってしまった後に、税務署に指摘され贈与税が課税されるケースはあるようです。


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