早く虫歯の治療をしたいのに……

リサーチ

治療は人に合わせたオーダーメイド。手順まで同じとは限らない。

ある日Aさんは虫歯が気になりだしたため、とある歯科医院で治療が終わったばかりの友人にリサーチを行ないました。するとそこは虫歯だけ治療してスピーディだったとのこと。それならと虫歯の治療のみを期待して同じ歯科医院に通院し始めたのに、なぜかAさんは歯周病の治療が先に行なわれ、虫歯の治療が後回しになりました。実はこのようなことは日常的によくあるケースです。

ポイントは、Aさんと友人の歯周病の進行度の違い。知り合いは定期検診を欠かさず行なっていたために歯肉が健康な状態でした。しかしAさんは、ここ数年歯科医院にはご無沙汰状態で、歯周病が中程度まで進行していたのです。


歯周病治療は地盤改良、虫歯の治療はリフォーム

よく歯の治療を家の建築に例えることがあります。歯ぐきから下は「土台」、歯ぐきから上は「家」。歯は歯ぐきという軟弱地盤を貫通して骨の中に固定されているようなものです。歯周病治療は、主に歯の基礎になる部分を安定させたり改良したりして、土台がぐらついたりしないようにします。

虫歯の治療は家の修繕になります。窓が割れたり、壁に穴が開いたり、屋根が壊れたり、破損の程度によって補修や交換などのイメージです。歯の色などは外壁の模様替えのようなものです。

虫歯の治療が優先的に行なえるのは、あくまで土台や基礎がしっかりしている家が原則。小さなリフォームや修繕であれば、1日で完了します。しかし歯がボロボロで歯周病も進行しているような場合では、基礎からやりなおすことになり建て替えとなります。こうなるとある程度の治療回数と治療期間が必要になってきます。

どんなに豪華できれいな家であっても、基礎がしっかりしていない家は長くは持ちませんし、下手をすると基礎ごと外れて家が無くなってしまいます。


歯周病なのに虫歯の治療だけするとどうなる? 

中程度以上の歯周病をそのままにして、虫歯の治療だけをした場合は、短期間で歯周病が進行して歯が抜けてしまうなんてことにはなりませんが、デメリットとして臨床で良く見かけるのは次のようなことです。

歯と詰め物が密着が甘くなる
歯ぐきの炎症が続いている状態では、樹脂や金属を詰めるとき浸出液や出血などが歯と詰め物の間に入り込みやすく、セメントや樹脂に混じってしまうことがあります。このため強度不足や密着不足が起こって歯と詰め物にわずかな隙間ができてしまうことがあります。

歯ぐきが下がる
歯周病の治療前に歯にかぶせものをすると、かぶせたあとで歯周病が進行したり、あとから歯周病治療を行なうと歯ぐきが下がり、かぶせものと根の境目が目立ってきます。

歯がしみる
虫歯が原因で歯がしみると思っていたために、虫歯を治療しても歯がしみて納得できないことがあります。こんなときは歯周病が原因の知覚過敏の疑いもあります。虫歯部分の治療が完了しても歯周病が治療されていなければ、当然歯ぐきからの出血や歯がしみるなどの症状は改善しません。


普段から歯石取りなどの定期的メンテナンスを行なっている虫歯治療だけでも問題はあまりありませんが、3年以上歯石を取っていない場合には、急な痛みが神経を取らなければならない虫歯を除いて、歯周病の治療が先行して行なわれることは、良い状態を長く保つために必要なことなのです。



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