子供の病気/その他の子供に多い病気

赤ちゃんの肥厚性幽門狭窄症の症状・検査・治療法(2ページ目)

乳幼児の嘔吐のほとんどは問題のないものですが、生後1ヶ月~3ヶ月頃に哺乳するたびに噴水のように嘔吐する場合、「肥厚性幽門狭窄症」という先天性異常の病気の可能性も考えられます。肥厚性幽門狭窄症の症状、診断基準、検査法、手術を含めた治療法について解説します。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド

 

肥厚性幽門狭窄症の治療

まずは、嘔吐によってバランスを失った血液の状態を整えます。アルカリ性になった血液の電解質バランスを整え、脱水を改善するために輸液を行います。同時に、肥厚した幽門に対して、肥厚を抑える治療を行います。

治療は、内科的治療と外科的治療があります。

内科的治療は、硫酸アトロピンという筋肉の緊張を和らげる薬を内服または点滴で行います。副作用として、脈拍が多くなる頻脈やノドが渇くなどの症状がありますので、念のためにモニターを付けることがあります。負担が少ないのですが、短所として、改善までに時間がかかること、効果が100%ではないことが挙げられます。効果が悪い場合は外科的手術になります。内服と点滴では、幽門での水分も含めた物の通過が悪い場合は、内服での効果が悪いので、注射で行うことが多いです。

外科手術は、ラムステット手術と言う幽門筋を切開し拡げる方法が行われます。肥厚した幽門に外側からメスを切り口を入れることで、幽門の内腔が広がります。腸を切除したり、縫合したりしませんので、体への負担は少ないです。当然のことながら、改善が早いことが特徴ですが、全身麻酔による手術になります。

それぞれ、内科的治療か外科的治療かはメリットとデメリットを考えて、治療が選択されますが、まずは内科的治療での反応を見て、外科的治療になることが多いです。ただし、内科的治療には時間がかかるので、早期に完治を目指す場合は外科的治療がよいでしょう。

肥厚性幽門狭窄症は、一度治ると、再び狭くなることはほとんどありませんので、早期発見し、状態のよいときに治療を進めるのが望ましいでしょう。

早期発見のポイントは、「生後3カ月までに、ミルクや母乳を飲むたびに噴水のように吐くかどうか」です。
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