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ヘレケ産絨毯の直売店、ハン・ハル/イスタンブール

現在正規のヘレケ産絨毯を生産している唯一のメーカーとなっハン・ハルの紹介です。

執筆者:安尾 亜紀

唯一のヘレケ産絨毯ブランド、ハン・ハル

ヘレケ絨毯、ハン・ハル

今では市場で品薄と言われる本物のヘレケ絨毯がてんこ盛り!

ハン・ハルは、トルコ絨毯の王様・ヘレケ産の絨毯を唯一今でも生産し続けている正式メーカーです。

ヘレケ絨毯

クラシックなヘレケには花のモチーフが多い

ヨーロッパの影響を強く受け始めていたオスマントルコ帝国末期、当時のスルタン・アブドゥルメジトがドルマバフチェ宮殿に引越すのに合わせ、宮殿用のシルク絨毯を織る専門工場をヘレケに作らせます。この時、トルコ全国の産地から絨毯職人が集められ、ヨーロッパスタイルをふんだんに取り入れたヘレケ技法が新たに開発されました。その特徴は、シルク絨毯の場合はブルサ産の絹糸が使われ、ダブルノットで編まれていること、そして最低でも1平方センチメートル内に100以上の結び目があり(シルク)、模様にはチューリップやカーネーションを始めとした花のモチーフが多用されていること(その種類は200以上)、などです。

 

ハン・ハル、生命の木

名作、生命の木。ヴァチカンやバッキンガム宮殿、ホワイトハウスにも同じモノがあるのだとか

こうしてヘレケ産の絨毯は宮殿使用はもちろんのこと、海外からの大切な来賓にプレゼントされる、プレステージの高いアイテムにもなりました。現在でも世界中から注目を集めており、例えばメッカにあるキャーべの絹の織物もこのヘレケの工場で織られたものです。

ヘレケの絨毯工場は1923年にトルコが共和国になると共に民営化されますが、ハン・ハルはこの工場長をやっていたヴェイス・アー氏から続く、正式なヘレケ絨毯職人の末裔です。現在ヘレケで絨毯生産を行っているのはこのハン・ハルだけとなってしまったため、ハン・ハルはこの文化遺産を守り続ける唯一のブランドとなっています。

 

ハン・ハル、バーダット通り

バーダット通りにある店舗。ショッピングついでにのぞいてみてはいかが

このハン・ハル、もちろん本店はヘレケにありますが、ヘレケは外国人が行くには遠すぎる上に交通の便があまりよくない場所。そこで、どうしてもハン・ハルで本物のヘレケ絨毯を見たい、買いたい、という人は、イスタンブール市内唯一の支店、アジア側バーダット通りの店舗がおススメです。

 
ハン・ハル、バーダット店

「このカーテン生地に合う絨毯が欲しいのよ」と生地の切れ端を絨毯の上に乗せて色合いを見るトルコ人のおばちゃん。さすがのトータルコーディネートっぷり

あえて観光地・スルタンアフメット地区からは遠く離れた場所に支店をオープンさせたハン・ハルですが、ここバーダット通りはいわゆる日本の青山通り的なセレブ地区だけあって、お客さんには地元のお金持ちトルコ人が多いのだとか。

この店舗では、賃貸料が高いバーダット通りに店を構えているにも関わらず、ヘレケ本店と同じ価格が設定されているところがポイントです。絨毯価格も最初から決まっているので、値引き交渉はほとんど通用しません。それでも他の絨毯屋に卸されている価格に比べて、ハン・ハルでは卸値に近い価格で購入できるという意味ではとてもお得。

 

ヘレケ証明書

これがHereke Carpet Weavers Association発行のヘレケ証明書。ヘレケ産絨毯であることを証明できるのはこれだけ

ハン・ハルで購入したヘレケ絨毯には、「ヘレケ絨毯協会」がナンバリング入りで発行した正式なヘレケ証明書もつきます。ヘレケ絨毯であることを証明するには、この協会の証明書だけが有効です。

ちなみに近年では、ヘレケ絨毯のニセモノも市場に出回っています。また、ヘレケ産ではないものの、ヘレケ絨毯の条件を満たした絨毯(100以上の結び目、ブルサの絹糸、花のモチーフ)を「ヘレケ」として売っている場合も多いようですが、本物のヘレケ絨毯はハン・ハルのものだけです。

 

ハン・ハル、ヘレケマーク

ハン・ハルの絨毯には、このように「Hereke」マークが。ただし、このマークごとコピーされることもあるのだとか

価格帯は500~500,000ドルと決して安いお店ではありませんが、小さな飾り用であれば100ドル程度のお土産用シルクもあります。本物のヘレケを適正価格で、と思う人にはおススメです。

<DATA>
Han Hali(ハン・ハル)・バーダット通り店
住所:Bagdat Cad. No:81, Kiziltoprak
TEL:0216-550-2161
アクセス:アジア側国鉄Feneryolu駅から徒歩10分、カドゥキョイ船着き場からタクシー13分、ウスキュダル船着き場からタクシー17分

 

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※海外を訪れる際には最新情報の入手に努め、「外務省 海外安全ホームページ」を確認するなど、安全確保に十分注意を払ってください。

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