貯金を続けて「脳の報酬系」を活発化させよう

「貯まらん脳」の人は、どんな脳の状態なのでしょうか?
自分の脳の状態が家計状況にも反映されてしまう……

自分の脳の状態が家計状況にも反映されて

「目覚めや寝付きが悪い人は、アセチルコリンが不足しているのかもしれません。また、タバコに含まれるニコチンはアセチルコリンと似た働きをするため、常にニコチンを取っているとアセチルコリンが分泌されにくくなってしまいます。イライラすることが多かったり、休みの時も仕事が気になる、キレやすいのは、セロトニンの不足。衝動買いや衝動食い、悲しい映画を見ても泣くことがない、ギャンブルにハマるのはドーパミン分泌調節に異常がある可能性があります」(志村さん)

このように脳の状態は、神経物質の状態で変わってくるのです。では、お金が貯まるようになるには、脳をどんな状態にすればいいのでしょうか。志村さんは、お金を貯めることに喜びを感じる「脳の報酬系」を活発化させればいいとアドバイスします。

脳の中

貯まる人の脳の中は、うまく「報酬系」が確立している
 

少しずつでも貯金を続けて成功体験を積み重ねると、お金が少し増えただけでも幸福感を感じるようになり、ドーパミンが分泌されて、お金を貯める行為自体が快感になります。すると『脳の報酬系』が活発化して『もっとお金を貯めよう』と考えるようになるのです。そうなるためには、まずは貯金を習慣化することが大切です。たとえば、『100万円貯める』といった目標を立て、貯金を続ける。ただし、同じことを繰り返しているともっと強い刺激を求めるようになるので、どこかの時点で、今までの倍の額を貯金をするとか、目標を500万円にするなど、高い目標を設定することも必要です」(同)

出費で快楽を得る人はお金が貯まらない

一方、お金が貯まらない人は、買い物やギャンブルなど出費を伴うことで快楽や幸福感を得る報酬系が活性化されている可能性があります。
「ドーパミンは過剰に分泌されると、幻覚を見たり、不必要だとわかっていても同じことを繰り返してしまう切迫神経症になることがあります。また、快楽や幸福感が得られないとイライラしたり、不安になって、買い物やギャンブルを繰り返す依存症になることもあるのです」(同)

貯まらない人は自分の脳を抑制できない状態といえる

貯まらない人は自分の脳を抑制できない状態といえる



お金を貯められるかどうかには、ドーパミン以外の神経伝達物質も関係しています。たとえば、適度にセロトニンが分泌され、精神状態が安定していれば、ムダ使いをしないため、お金も貯まりやすくなります。また、ストレスや不安を強く感じるとノルアドレナリンが分泌され、出費を伴うことに快楽を覚える人の場合には、どんどんお金を使ってしまう恐れもあるのです。

前頭連合野という頭の前の部分が損傷を受けたり、アルコールや薬物の影響で「脱抑制」になった場合も、お金を貯められない可能性があります。


「脱抑制は、社会的に逸脱しないようにするなど、正常なコントロールが効きません。そのため、感情をむき出しにしたり、後先を考えずに行動したり、突飛な言動をしたりします。お金を貯めることも、計画を立てて物事を進めることも、場合によってはごく普通の日常生活を送ることもできません。極端な場合は治療が必要なこともあります」(同)

お金を貯めるためには、とにかく、お金を貯めることに喜びを感じる報酬系を活性化することが必要です。千里の道も一歩から。まずはコツコツと貯金を続けて、脳の状態を「貯まる」脳に変えることから始めましょう。

次のページからはお金を増やす運用法について考えてみます!

監修/志村秀樹(神経内科医) 取材・文/大山弘子  イラスト/フジモト・ヒデト 
デザイン/引間良基


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。