お金が貯まらないのは脳の状態のせい!?
それなりの収入はあっても貯金のない人がいる一方で、収入はそれほど多くない貯まらないアナタはどんな脳状態なのか?
「脳は、神経細胞(ニューロン)のネットワークで構成されています。神経細胞のなかでは、情報の伝達を電気信号として行います。神経細胞と神経細胞との間には、シナプスと呼ばれる、いわば神経細胞間のつなぎ目があるのですが、ここでは電気信号を伝えることができません。そのためシナプスでは、電気信号を化学物質(神経伝達物質)に変え、それをやり取りすることで、隣の神経細胞に情報を伝えていきます。現在までに、ドーパミンやノルアドレナリン、アセチルコリン、セロトニンなど数十種類の神経伝達物質が確認されていますが、お金が貯まらない人は、神経伝達物質がうまくやりとりされていない可能性があります」(志村さん)
貯めることが「快楽」にならないとお金は貯まらない
神経伝達物質のうちドーパミンは、喜びを感じた時に分泌され、幸福感や快感をもたらします。「脳は幸福感や快感につながった行動を覚えているので、満足感や達成感が得られないとさらに幸福感や快感を得ようとして、同じ行動を繰り返そうとします。これを脳の報酬系と呼びます。例えば、小銭を貯金することが得意な人は、お金を貯めるたびにドーパミンが分泌されて幸福感を得ているのと思われます。このように、ドーパミンは学習の強化因子として働いているのです。」(同)
他にも「貯まる」脳と関係があると思われる神経伝達物質に、ノルアドレナリンやアセチルコリン、セロトニンがあります。このうちノルアドレナリンは、生命の危機や不安、怒りなどを感じた時や、集中力を要求される時に分泌されるもの。行動力を高める反面、過剰に分泌されると恐怖感や強迫観念、不安感などを引き起こす原因にもなります。アセチルコリンは、学習や記憶のほか、睡眠や目覚めなどに関わる神経伝達物質です。
「セロトニンは、ドーパミンやノルアドレナリンなどの情報伝達をコントロールして、精神を安定させる作用があります。そのため、分泌されるとストレスや不安が緩和されます。また、セロトニンが不足すると感情のコントロールができにくくなり、快楽を求めすぎるあまり依存症になったり、うつ病になったりすることがあります」(同)
まずは、以下のテストをやってみてください。この結果を踏まえて、どうすれば「貯まる」脳になれるのかを考えていきましょう。
次ページでは、「貯まる」脳と「貯まらない」脳をさらに詳しく解説します!
監修/志村秀樹(神経内科医) 取材・文/大山弘子 イラスト/フジモト・ヒデト
デザイン/引間良基
神経内科医、医学博士。神経内科専門医、内科認定医。順天堂大学付属浦安病
志村秀樹さん