清算型手続の代表「破産」とは
破産の申立は年間10万件以上
司法統計年報によると、破産手続の申立件数は平成15年にピークをむかえ年間25万1800件(うち個人の破産が24万2849件)でしたが、その後は個人の破産件数が大きく減少しています。平成23年にはピーク時の半分以下の件数になっていますが、それでもなお年間10万件を超えています。
破産手続の主な特徴は、
- 清算型の手続であること
- 個人でも法人でも利用できること
- 債務を免責するための手続があること(個人の場合)
清算型の代表である破産手続は、原則として債務者の全財産を換金したうえで、債権の種類による優先順位や債権額に応じて公平に弁済(配当)して手続を終結することが予定されています。そしてその一連の手続を、裁判所が選任する破産管財人(一般に債務者や債権者と利害関係のない中立な弁護士)が行うことになっています。
法人の破産では、通常、この破産管財人が選任されますが、個人の破産の場合には、そもそもめぼしい資産が全くないということもあります。債務者に資産がなく、破産手続の費用すらまかなえないようなケースでは、裁判所はわざわざ破産管財人を選任せずに、破産手続開始と同時にその手続を終了させます。これを「同時廃止」と呼んでいます。個人の自己破産の事件の大多数は、この同時廃止となっており、この場合、債権者への配当はありません。
なお、破産手続が開始または終了すれば、全ての債務が消滅するわけではなく、裁判所から別途、免責の決定を受けなければなりません。財産を隠したり、浪費やギャンブル等で過大な債務を負って破産したような場合には、この免責が受けられないことがあります。
次のページでは、再建型手続の代表である「民事再生」について、解説します。