「ハイブリッド」で「RS」という2つの付加価値
パワートレインのスペックは、ハイブリッドRSの1.5リッターエンジンが、最高出力84kW[114ps]/6000rpm、最大トルク144Nm[14.7kgm]/4800rpm。モーター出力はフィットハイブリッド全車共通の、最高出力10kW[14ps]/1500rpm、最大トルク78Nm[8.0kgm]/1000rpmとなっている。ご参考まで、RS以外のフィットハイブリッドの1.3リッターエンジンのスペックは、最高出力65kW[88ps]/5800rpm、最大トルク121Nm[12.3kgm]/4500rpm
ドライブしてまず感じるのは、やはりパワフルなことです。RSではないフィットハイブリッドも出足はモーターのアシストにより、軽やかに前に進んでくれるのですが、RSはさらにエンジンに力があるぶん力強さを直感します。エキゾーストサウンドも、低音のビートの効いたものとなっていて、運転して、より楽しさを感じさせる味付けとなっています。
RSには3モードコントロールが付いているのもポイントで、切り替えるとかなり印象が変わります。NORMALモードでも十分ですが、SPORTモードを選ぶとさらにパワフルになり、踏み込んだときのレスポンスも良くなります。
ECONモードでは燃費重視の設定となり、加速感は控えめになりますが、CVTが上手く制御して、あまり落ち込みを感じさせません。そして燃費も、高速道路、市街地とも予想以上に良好でした。
「SPORT」「NORMAL」「ECON」の3つの走行モードを選択できる3モードドライブシステムを装備。インパネ右端にスイッチがある
一方のMTでは、モード選択による変化がよりダイレクトに感じられます。SPORTモードではよりパワフルに、ECONモードではより大人しい乗り味となります。
とにかく、今の時代にMTが選べること自体に価値があると思います。筆者としては、せっかく「RS」と名の付くモデル、ぜひMTで乗りたいと思う反面、CVTでも十分にスポーティな走りを楽しむことができるので、悩ましいところです。
フットワークについても、ハイブリッドではないRSに乗った際にも、引き締まった小気味よい乗り味に好印象を持っていたところ、ハイブリッドRSは、持ち前の軽快なハンドリングに加えて落ち着きの増した、より上質なドライビングを楽しむことができます。
また、フィットハイブリッドの場合、重いバッテリー等がリアのオーバーハングではなく、ちょうど後軸の上から少し前あたりに搭載されるので、コーナリング時にリアが振り出されるような感覚があまりないところもいい。さらに、前後重量配分がいくぶん均等に近づくことで、フロントヘビーな感覚が減るというメリットのほうがより大きく感じられます。
ボディカラーによってはブラック×オレンジの専用シート表皮が選べる。また、ボディカラーを問わずブラックの本革シートをメーカーオプションにて用意
しかも、バッテリーの搭載に要するスペースが小さいので、ハイブリッドではないフィットに比べて、ラゲッジフロア下のアンダーボックスこそなくなっているものの、シートアレンジへの影響はなく、ほぼ同じように使えるので、優れた実用性を武器とするフィットの魅力が損なわれていないところもポイントです。
フィットハイブリッドにRSがあったらいいのにと思っていた人は少なくないと思いますが、期待どおり、「ハイブリッド」と「RS」という、2つの大きな付加価値を身につけたフィットでした。
【関連サイト】
ホンダ フィット