聞けば、建て主さんは、ここで生まれ育った生粋の中野っ子。まわりは小学校からの同級生たちばかりとか。ある意味、外からの視線を感じずにはいられないほどの解放感も、そんな環境なればこそというわけだったのです。
「もうすぐ出来上がるんだけど、リビングに大きなキャスター付きの丸テーブルが来るんです。でも、それはあまり存在感がありすぎるものじゃなくて、けっこう自由に移動できて、きょうはこちらで朝食を食べようかというふうに気分で空間移動ができるようなものにしたい。
また2人の子ども部屋も、いまはただの一個の空間だけど、今後大きくなってきて境界が必要になればそれもつくれるようにフリーなスペースにしてある。そんなふうに家族とともに成長、変化する家づくりをめざしてます」
とは小林さんの弁。なるほど、これは一つの箱であって、住み手がいろんな知恵を絞って育てていけばよいというわけですね。その意味では、あまり完成形に近づきすぎない方がゆとりというか“遊び”があっていいのかもしれません。この家を見て、ふっと「建築から自由な家」という言葉がアタマに残りました。