予想以上に早い、IHクッキングヒーターの火の通り
「大阪の店舗で調理していた頃は、ガスの「火」を見ながら感覚で火加減を見ていたので、数値で火加減を調整することに最初は戸惑いがありました。IHは予想以上に火の通りが早い。慣れるまでは、やはり失敗もありました。」やはりプロでも私たちと同じなのですね。ちょっと安心(?)です。
「でも、IHはお湯が沸くのも早いですし、慣れると例えば『鍋のコース』が急に入っても、これまでより早く対応できるようになりました。また、これまで感覚でやってきた火加減が数値化できるので、調理人が複数になっても、出来上がりの質を一定に保つことができるようになりました。」
「銀座まなや」 オール電化のワケは?
実際に生産者の所へ訪問し、確認した上で仕入れるほど、お店の野菜にはこだわっているそう。 |
「『まなや』は、漢字で書くと真菜也、つまり、「精魂こめた真(まこと)のお料理」がコンセプトです。『有機野菜を使い、材料にこだわる』と言うだけなら、今ではありきたりですが、生産者の顔が見える、安全で安心な野菜を仕入れるようにしています。調味料も『ちゃんとした工程を経て作られた』ものだけを、何十種類もの中から選んで使っています。」
では「銀座まなや」は、どうしてオール電化厨房を選んだのでしょう?
「オール電化にするメリットは、4つあります。」と三上さん。
「1つ目は、『作業効率の改善』です。厨房では、いわゆる3C、クール・クリーン・コントロールが重要ですが、IHは鍋が焦げ付かず、掃除もしやすいのです。2つ目はガス漏れの心配がないこと、つまり『安全性の向上』。3つ目は『光熱費の削減』。4つ目が『衛生管理水準』です。厨房の理想的環境は、室温25℃、湿度80%以下と言われています。夏の調理場は本当に暑く、調理している人も大変なのですが、火を使わないIHは、理想的環境を維持しやすいのです。」
そういえば、先ほどの炙り焼のグリル。あれはどんな仕組みなのですか?
「ホールから見える炙り焼専用コーナーは、電気のグリラーを使っており、『まなや』の中でも銀座店だけのオリジナルです。私たちの店の特長でもある『よい素材』を炙る香りを、お客さまに、まず味わっていただきたいのです。特に愛媛県産の『雉(キジ)』と、岩手県産の『純和鶏』の焼き物がお勧めです。」
電気のグリラーで焼いた「純和鶏もも炙り焼き」 |
インテリアにも「本物の素材」を
手仕事ならではの落ち着いたインテリア空間で、鶏やお鍋がさらに美味しく! |
新鮮な野菜を入れた木箱が隅にさりげなく並べられたホールは、民家の土間を思わせる雰囲気。和風のデザインが嫌みにならないのは、素朴な材料で丁寧に仕上げられているからでしょう。お店の姿勢がインテリアからも伝わってきます。
三上さんは「銀座まなや」は、「おもてなし」を何より大切にしていると言います。
「銀座はお店のレベルが高く難しいエリアなので、お客さまにお店に来ていただくまでが大変です。でも、一度来ていただければ、必ずリピートしてもらえると思っています。」と話す三上さん。その表情には、自信が満ちているように思えました。
【取材協力】銀座 まなや