風景につながった住まい

都心より暑い場合もある青梅の夏に備え「青梅の家」では、窓の前に庇を付けて、夏の陽射しを遮っています。
「青梅の家」の敷地は、東京の西のはずれ、北側に杉木立の山並みが控え、南側は風景に向かって開いた、とても見晴らしの良い場所です。その一方で、敷地の東西には間近に隣家が迫っています。私たちは敷地を見て、全ての方向にまんべんなく窓を開けるのではなく、風景に向かった南北の窓だけに絞り、眺めと通風をしっかりと取ろう、と考えました。


青梅の家の立地。2階フロアから、外の風景につながります。



食堂越しに、風景を見ながら料理ができる2階のキッチン。
この敷地では、2階に上がれば南側の数キロ先まで見晴らすことができます。施主も私たちも、主な生活の場となる居間・食堂・キッチンを2階に据えることで、すぐに意見が一致しましたが、毎日家に帰ってから長い階段で居間に上がるのは、やはり面倒です。そこで、寝室と浴室のある1階を地面より少しだけ下げて、「人の身長くらい」の短い階段を上がれば2階に行けるようにしました。


2階の子ども部屋からリビングを見下ろす。短い階段で家の中がつながっています。
これだけでなく、2階の居間から2.5階の子供部屋へ、さらに屋上の踊り場・テラスへと、短い階段を少しずつ上昇しながら家の中を巡ることができます。玄関を入って短い階段を上ると、日常の喧噪を思わず忘れてしまいそうな風景が、目の前に一気に飛び込み、屋上のテラスからは、雄大な南の風景と、すぐ北に迫る杉木立を目前に感じることができます。家全体が「風景につながったひとつながりの空間」となるようイメージしながら、デザインを整えていきました。


居間は暖かな陽だまり

リビングは、暖かな陽だまりの場所です。
山あいの恵まれた自然環境と引き換えに、青梅の冬は気温が都心よりも数℃低く、冷え込みが厳しくなります。

私たちはまず、壁と天井に性能の良い断熱材をたっぷりと入れ、省エネルギー住宅の『次世代基準』を上回る断熱性能を持たせました。次に南面の窓を思い切り大きく取り、冬の陽射しを部屋の奥まで導きます。風景を存分に楽しめる大きな窓にはペアガラスを使い、室内の暖かさが逃げにくいように。その一方で、青梅の夏は都心以上に暑くなることを考え、窓の前には庇を付けて、夏の陽射しを遮るようにしました。

竣工後の冬の晴れた日、久しぶりに訪れた「青梅の家」のリビングルームは、全く暖房していないのに驚くほどの暖かさになっていました。窓を少し開けて、外の冷たい空気を入れて温度を調節していたほどです。

一般的に窓の大きい家は寒いものですが、冬の陽を室内に導く南側の大きな窓は、晴れた日なら暖房の要らない家を作ってくれたのです。

“エコキュート置き場”にひと工夫

そうは言っても、もちろん毎日が晴れた日というわけにはいきません。以前ご紹介した「テレスコープハウス」と同様、室内の空間が上下につながった「青梅の家」も、エコキュートで作ったお湯で部屋を足下から暖める、温水床暖房を採用しました。

両隣に家の迫った「青梅の家」は、外壁から東西の敷地境界まで、50cm強しか幅がありません。ここで困ったのがエコキュートタンクの置き場。床暖房にもお湯を使える「多機能型エコキュート」には、その幅で置ける薄型タンクの機種がなかったのです。

左側の棚、階段下のデッドスペースに、エコキュートのタンクを設置しました。
そこで私たちが目をつけたのは、玄関から居間への階段下の空間でした。
エコキュートには室内にタンクを置くことのできる機種がたくさんあります。断熱性能の良い「青梅の家」なら、少し小さめの370Lのタンクでも大丈夫と考え、デッドスペースになっていた階段の下に、エコキュートのタンクを入れることにしたのです。


照明やディテールは?
次回はさらに「青梅の家」のディテールを紹介します!
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。