オール電化住宅/オール電化住宅の実例・入居者の声

立体的で広い空間があるのに、寒くない家(2ページ目)

省エネなのに暖かいオール電化住宅「青梅の家」の続編です。この設計を始めたとき、私たちの意識には二つの近代建築の名作住宅があったのです。

執筆者:粕谷 奈緒子

オール電化で何が変わる?

人が建築の空間をどのように感じるか?ということは、昔も今もあまり変わらないのですが、それを支えるテクノロジーは、80年前に比べるとずいぶんと進化しています。

「青梅の家」は、室内の空間が水平にも垂直にもつながり、居間には床から天井まで一杯に開いた大きな窓があります。昔だったら、大掛かりなボイラー設備で、しかも大量のエネルギーを投入しなければ家の中を暖かくすることなどできなかったでしょう。

断熱性を高めるため、スリット状の窓にも、すべて複層ガラスを使用しています。
ところが現在は、性能の良い断熱材を壁や屋根に入れ、窓には複層ガラスを使うことで、家全体の断熱性を飛躍的に高めることができるようになりました。例えるなら、昔の住宅がすぐに熱の逃げてしまう「ガラスのコップ」だったのに比べ、現在の住宅はまるで「魔法瓶」のようにできるようになったのです。


自然石を張った浴室。お湯はエコキュートでまかなっています。
そしてもう一つ大切なことが、もちろん「設備」の進歩。中でも、少ないエネルギーで効率的にお湯を作ることができるエコキュートは、代表的なものといえるでしょう。
「青梅の家」では、お風呂やキッチンはもちろん、床暖房で使うお湯まで全てエコキュートでまかなっています。これに加えて、室内の照明は白熱灯を使わず、全て蛍光灯とLEDを使い、消費電力が極力少なくて済むようにしてあります。


リビングルーム。「光の線」のような蛍光灯の明かりです。
特に蛍光灯の光を「光の線」のように連続させることのできる「シームレスライン」という器具を使い、しかも、あえてそれがむき出しで見えるようにしました。仕上げ材料に無垢材のフローリングや自然石などを使ったのと同じように、蛍光灯の明かりも一つの「素材」として扱い、できるだけ素のままで本来の美しさを引き立たせるようにしたいと思ったのです。

施主と私たちが、「青梅の家」でオール電化を選んだのは、現実的なイニシャルコストで、光熱費をできるだけ抑えつつ、気持ちよく過ごせる住まいをつくりたい、ということが理由でした。

嬉しいことに、新しく完成した住まいは、それまで施主が住んでいた半分くらいの大きさのマンションよりも、合計の光熱費が安く済んでいるのだそうです。

オール電化住宅の新しい技術は、単に設備を進化させるだけでなく、住空間のデザインの幅を拡げる可能性を秘めています。「風景につながる暖かな住まい」、皆さんはどんな印象を持たれましたか?
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