資産運用

エコノミストが語る!豪ドルは当面強い状態が続く

高金利国として通貨や債券の人気が高かったオーストラリアも、今年だけでも3度の利下げを行い、政策金利は3.25%に。この先、オーストラリアドルの金利と為替はどう動くのでしょうか。HSBCグローバル・リサーチのオーストラリア及びニュージランド担当チーフエコノミストのポール・ブロックサムさんにうかがいました。

大山 弘子

執筆者:大山 弘子

新興国投資・ETFガイド

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高金利国として通貨や債券の人気が高かったオーストラリア。この先、オー
ポール・ブロックサム(PaulundefinedBloxham)さん オーストラリア準備銀行を経て、2010年HSBC入行。国内外のビジネステレビ番組においてレギュラー・コメンテーターを務める一方、オーストラリアの新聞の社説欄に定期的に寄稿を行う。

ポール・ブロックサム(Paul Bloxham)さん オーストラリア準備銀行を経て、2010年HSBC入行。国内外のビジネステレビ番組においてレギュラー・コメンテーターを務める一方、オーストラリアの新聞の社説欄に定期的に寄稿を行う。

ストラリアドルの金利と為替はどう動くのでしょうか。HSBCグローバル・リサーチのオーストラリア及びニュージランド担当チーフエコノミストのポール・ブロックサムさんにインタビューしました。

オーストラリア金利は2013年後半には利上げに向かう

資源国として知られるオーストラリアは、21年間連続で経済成長が続く、経済の 優等生国です。欧州債務危機問題が世界中を揺さぶった今年でさえ、「上半期は、鉱業投資の増加によって経済は非常に好調だったとポール・ブロックサムさんは説明します。

「下半期は世界的な経済減速の影響を受け、オーストラリア経済も減速傾向にあります。プラス成長は維持できるものの、年内にもう一度利下げを行い、政策金利は3.00%になるとみています。ですが、2013年上半期には景気が上向き始めるでしょう。それによってインフレが起こり、年後半には再び利上げに向かうとみられます」(ブロックサムさん)
オーストラリアの政策金利は

オーストラリアの政策金利は現在は低い水準


歴史的な低金利が消費意欲を喚起する

景気が上向く背景には、歴史的に見ても低い水準にある金利によって、住宅や小売りの需要が喚起されることがあるといいいます。
「過去2年間、オーストラリアの経済は、GDP増加分の3分の2を鉱業部門の投資がもたらすなど、かなり偏った状態で成長してきました。ところが、コモディティ価格がピークを打ったことで、鉱業投資は鈍化しつつあります。その一方で、金利が下がって消費者も企業も資金調達がしやすくなったことから、住宅購入意欲が高まり、住宅価格は過去4カ月で3%程度上昇しています。住宅建設も増えているので、関連する製造業も上向くでしょう。小売りも伸びるとみられます」
オーストラリアの景気が上向き、利上げに向かえば、豪ドルが再び高金利通貨として注目される可能性も高そうです。 

当面は豪ドルの一人勝ちが続く!?
対米ドルの豪ドルレートは安定的に推移する

オーストラリアの通貨である豪ドルは、リーマンショック後、米ドルに対しても円に対しても強い状態が続きました。

豪ドルはドルに対してどう動くか

豪ドルも円もドルに対しては強かった


「豪ドルの対米ドルレートは、過去に比べれば高い水準にあるものの、この2年ほどは急激に上昇することはなくなりました。目先は、オーストラリアの経済減速によって多少、弱含む場面もあるかもしれません。それにより、急激な豪ドル高の影響で弱い状態が続いていた観光や教育(留学)、製造業など為替変動の影響を受けやすい分野が好転することも期待できます」(ブロックサムさん)

ただし、豪ドルの価値が大幅に目減りすることもないといいます。
「ヨーロッパには財政債務問題、アメリカには年末から来年1月にかけて、減税の終了と強制的な歳出削減によって急激な緊縮財政が起こる財政の崖という、そう簡単には解決できない問題があります。そのため、しばらくは豪ドル高の水準が維持されるでしょう。2013年は、年間を通じて1米ドル=0.95豪ドル前後で推移すると予想しています」

長い目で見れば豪ドルは魅力的な投資対象

ところで豪ドルは、日本円に対しては、どう動くのでしょうか。
「ヨーロッパやアメリカの通貨や経済が良くないために、豪ドルも日本円も消去法で買われている面があります。ヨーロッパの問題もアメリカの問題も、すぐに解決できるものではありません。豪ドルは市場自体が小さいため、為替変動が大きい傾向はありますが、当面は豪ドルも日本円も現在の水準が維持されると考えるのが妥当ではないでしょうか」
豪ドルを買うのは有望だといえそう

図中の緑線=豪ドル/円。紫線=ドル/豪ドル
 


そうはいっても、今の水準が、ずっと続くわけではありません。
「長い目で見れば、成長見通しが明るく、国債の格付けが最上位のAAA格で、しかも他の先進国に比べると国債の利回りも魅力的な水準にあるオーストラリアは、投資対象として魅力的だと思います」

取材・文/大山弘子

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