国と国との「裁判所」
国と国とで争い事は当然、世でいう「裁判所」に訴えることはできません。そこで国家間の争いを法的に解決するため第二次大戦後に設置されたのが、国際司法裁判所です。悲惨な大戦を経験した後、「国家同士の揉め事は裁判で解決しよう」という理想のもとにできた機関です。国際司法裁判所は国連機関の1つとして設置され、国連憲章第14章にその意義などが書かれています。本部はオランダのハーグ。ハーグというと、国際結婚破綻後の子供の親権について定めた「ハーグ条約」などでも名前が出てきています。
裁判官は15人
国際司法裁裁判所の裁判官は15人。この15人は、同じ国から2人以上選ばれてはいけないことになっています。15人の顔ぶれは多彩で、世界中の国から選ばれています。その中の一人には雅子妃の父である、小和田恆(ひさし)氏の名も。その他、14人の出身国は、アメリカやイギリスなどの先進国をはじめとし、ソマリアやウガンダといったアフリカの国々が名を連ねます。世界の様々な価値観にもとづいて裁くための裁判所といえるでしょう(なお、15人を束ねる役割を持つ現在の裁判長は、スロバキア出身のペーテル・トムカ氏)。
どこの法律が適用されるのか?
裁判では必ず「準拠法」という概念があります。これは、どこの法律を適用して裁判を行うのか決めるもの。例えば、日本の裁判所で行われる裁判では、日本の法律が適用されます。では、国際司法裁判所で行われる国家間の裁判は、どのような法律が適用されるのでしょうか? 基本的には、国際法が適用されます。適用法については、国際司法裁判所規定第38条に書いてあるのですが、その一文として「法として認められた一般慣行の証拠としての国際慣習」のようなかなり曖昧な書き方になっています。
そのため適用法は議論の対象になっているのが実際のところです。ただし、わかりやすいものとして条約があります。国家間の約束である条約は、国際司法裁判所の審理に大きく影響する要素です。