トップを閉じてもスタイリッシュ
先代タイプ997に比べて全長はわずかに長くなり、ボディサイズは4500mm×1810mm×1305mmに。ホイールベースは100mmも延長され2450mmとなった。価格は、911カレラカブリオレが1359万円(写真)、911カレラSカブリオレが1639万円
ポルシェ911カレラが、約7年ぶりにフルモデルチェンジしました。そして、これまではクーペが出て、しばらく経ってから追加されるというイメージのあったカブリオレが、今回はわずかなタイムラグでラインアップされました。
アルミニウムを多用し、大幅な軽量化を実現したボディや、ホイールベースを100mm拡大するとともにワイドトレッド化したシャシー、刷新したエンジン、充実の電子デバイスなど、従来のタイプ997に対して数々の進化を遂げたポイントは基本的にクーペと同じ。
そして、カブリオレとはいえ、スポーツカーの命である軽さを重視しているがゆえ、ライバルの多くがリトラクタブルハードトップを採用する中で、頑なにソフトトップにこだわっている点もポルシェらしいポイントといえます。
ボディのフロント部分の構造をアルミをメインとしたのをはじめ、随所にアルミを用いるなどして従来比で最大60kgの軽量化を図った「スチール/アルミニウム製」ボディを採用したのがタイプ991のハイライトのひとつ。カブリオレではサイドシル内部に専用の補強を施し、動的ねじれ剛性を従来比で18%向上させたという。車両重量は同仕様のクーペよりも70kgほど重い
実車を目の前にしてまず感じたのは、スタイリッシュになったなということです。従来のタイプ997に対して、ワイド&ローイメージが増し、タイヤ&ホイール径が大きくなったことや、フロントウインドウの傾斜がよりなだらかになったのは見てのとおり。さらに、ボディパネルの造形そのものも、より表情豊かに抑揚がつけられたようで、かつてのポルシェにはなかったエレガントさを感じさせます。
ホイールベースの延長によりフロントシートのレッグスペースは先代タイプ997に比べて25mm拡大。標準装備されるスポーツシートには、新たに4-way電動調節機能が備わった
しかもカブリオレは、これまではオープンにするのが「本来の姿」で、トップを閉じるとあまり格好よろしくなく、どうしても「仮の姿」という印象が強かったのですが、タイプ991はトップを開けても閉めてもスタイリッシュ。トップを閉じてもクーペと比べてそん色ないシルエットを持っています。
考えてみると、大半のユーザーにとっては、トップを閉じた状態で乗る時間のほうがはるかに長いはず。カブリオレに興味はあっても、なかなか実際には踏み切れなかった人も、これなら思い切って決断できるのではないかと思います。
ソフトトップを閉じてもスタイリッシュなルーフラインを描く。CD値もクーペが0.29であるのに対し、0.30と遜色ない。ソフトトップにはガラス製のリアウインドウとマグネシウムを用いた3つのサポートエレメントを装備し、このエレメントにより堅牢かつ軽量に仕上げられている。ボクスターと異なりZパターンの折り畳み構造を採用しており、50km/h未満であれば走行中でも開閉が可能で、所要時間は約13秒