目立たなければDSの意味などない
新しい領域のプレミアムカーセグメントとして開発される個性的かつ独創的なDSラインのフラッグシップとなる5ドアハッチバック。ボディサイズは全長4535mm×全幅1870mm×全高1510mm、価格は400万円
クルマというもの、大きくなればなるほど、デザイナーの仕事は増えるもの。逆に言うと、デカいクルマになればなるほど、いろいろ好き勝手できる可能性が広がって……。
さしずめ、このDS5は、DS3、DS4で表現しきれなかった21世紀のDS流儀を、あらためて世に問うてみた、ということだろうか。とにかく、フルスロットルの奇抜さで、特にボディパネルいたるところのクロームのあしらいなどは、“なるほど、まだこんな手があったのか”と、クローム好きのボクもたじろいだほど、だ。
特に、“眉毛”がすごい、凄過ぎる。ショーではじめて見たとき、もうそれだけで気に入ってしまったものだが、あらためて(きらびやかなショー会場ではなく)こうして、東京の下町において眺めてみれば、気恥ずかしくなるほどのやり過ぎ感を、覚えないわけにはいかない。道往く人も、何とはなしに、ちらちら眺めていく。気になっている様子だ。
それこそが、シトロエンの狙い、DSの面目躍如だろう!! 目立たないでDSの意味などない。アヴァンギャルドであれ!が是なのだ。目立つな、という方がおかしい。
だから、乗り手を選ぶ。負けない個性が必要だ。外身だけじゃない。中身もかなり面白い演出で、見ようによれば、豪華でさえある。新しいラグジュアリー言語を、シトロエンは見つけたようにも思う。各マテリアルのクォリティも、高い。もしくは、高くみえる。何より、ディテールのデザインが凝っていて、しかも全体として破綻がない。隅々まで、一流のデザイナーによる管理が行き届いていると思う。ぶっ飛んだ、デザイナーの。
なるほど、趣味的要素の強いクルマだが、そこはフランス合理主義から生まれたアヴァンギャルドだけあって、ファミリィカーとしての機能も十分だ。デザインコンシャスなだけに留まらない、スペーシーな空間造りは、特にこのDS5の大きな魅力のひとつであろう。
運転席回りは航空機の操縦席をイメージ。シートは通常のコンビ(レザー&ダイナミカ)に加え、レザー(25万円)と腕時計のベルトをモチーフとしたウォッチストラップデザインのクラブレザー(45万円 写真)を用意