アイスクリーム/アイスクリームのおすすめ店

今絶対に食べたいジェラート&アイス(4ページ目)

暑さも本番、アイス、ジェラート、ソフトクリーム、かき氷などの冷たいスイーツが気になる季節です。前回は「東京スカイツリータウン・ソラマチ」内の注目店をご紹介しましたが、今回は都内の路面店編です。職人達によるこだわりアイス&氷菓のお店が続々登場しています。

平岩 理緒

執筆者:平岩 理緒

スイーツガイド

Gelateria SINCERITA(ジェラテリア・シンチェリータ) 

「シンチェリータ」外観

「シンチェリータ」外観

私が、阿佐ヶ谷のジェラテリア「シンチェリータ」を訪ねるきっかけになったのは、こちらのジェラート職人である肥田野雄紀さんが、2011年6月に開催された「第5回氷菓(グラス)を使ったアシェットデセール・コンテスト」で優勝されたことでした。私はこのコンテストの第1回から解説を担当させていただいていますが、歴代の出場者のほとんどがパティシエの方で、ジェラート職人の方は初めてでした。その作品は、国産のフレッシュの桃と木苺を素材にしたもので、味や香りを見事に引き出したジェラートが非常に美味しく、印象的だったのです。
「シンチェリータ」のジェラートのショーケース

「シンチェリータ」のジェラートのショーケース

加工品のピューレを使わず、生のフルーツだけを使ってジェラートを作るというのは、下ごしらえの手間もかかりますし、品質が一定でない場合もあります。追熟の加減などもコツがあり、生産者の方に尋ねながら試行錯誤と試作を重ねているとのこと。また、ヘーゼルナッツやピスタチオなどのナッツ類でも、生の豆からローストし、ローストしたてをペーストにしてジェラートに封じ込めるという手間をかけています。そんなジェラート作りの難しさと楽しさに日々挑戦しているのが、「シンチェリータ」のジェラートマイスターである中井洋輔氏です。

中井氏はもともと、ミラノでインテリアデザインのお仕事をされていて、その数年間に、大好きだったジェラートの食べ歩きをかなりしたとのこと。“好き”が高じて、数年前からジェラートの道に進み、独学で研究を続けていらっしゃるそうです。イタリアのリミニで開催される「SIGEP」というジェラート・製菓・製パンの国際展示会でのジェラートコンテストにも出場し、2011年には3位入賞も果たしています。
「シンチェリータ」のデュオ(2フレーバー)460円。プラムとペスカ(桃)/ソロ(1フレーバー)420円、トリオ(3フレーバー)500円、コーン(+40円)

「シンチェリータ」のデュオ(2フレーバー)460円。プラムとペスカ(桃)/ソロ(1フレーバー)420円、トリオ(3フレーバー)500円、コーン(+40円)

「シンチェリータ」では、毎月11日に、新作フレーバーが発売されます。7月の新作フレーバーとして登場した3種類の味のうちの2つ「プラム」と「ペスカ」を2種盛りにしていただきました。プラムを皮ごと使った美しい赤色と、ペスカのなめらかな乳白色との、色彩の対比も鮮やかです。

プラムは、最初は「大石早生」で、旬に応じて品種が変わり、私がいたただいた時は「ソルダム」ということでした。さらに「貴陽」などの品種に変わっていくそうです。皮の酸味と果肉の甘みが合わさって、果物を食べるより、味も香りもより印象的に感じられるのが特徴的です。

ペスカは、岡山直送の白桃を使い、こちらも時期によって品種が変わっていきます。今は、8月中旬頃までと見込まれる「清水白桃」で、ミルクが入っているようにすら思われる、なめらかで上品な口当たりとやさしい甘さが心に残ります。酸味の強いプラムと一緒にいただくと、味のバランスも抜群。夏にお薦めしたい組み合わせの一つです。

そして、8月11日に登場する新フレーバーは、みかんとホワイトビールとを組み合わせた「みかんヒューガルデン」と、「アールグレイ」の予定だそうです。

素材の味わいを活かす秘密の一つは、口の中に残らない爽やかでナチュラルな甘み。「シンチェリータ」では、全てのジェラートに、砂糖ではなく、荻窪に本店のある「はちみつ専門店ラベイユ」の蜂蜜を使っています。「ラベイユ」の蜂蜜は全て非加熱のもの。特に、他の素材をより引き立てることができる、アカシアの蜂蜜を使用しています。ミルク系、フルーツ系どちらのジェラートの素材も邪魔せず、それぞれの素材の味を引き出しているのです。
「シンチェリータ」の「アッフォガード」(600円)

「シンチェリータ」の「アッフォガード」(600円)

「シンチェリータ」は、ジェラート専門店でありつつ、さらなる進化を試みています。例えば、こだわりの一つは「エスプレッソ」。ジェラート同様、イタリア文化としてなじみ深いものですが、昨年秋頃から本格的に導入を始めて、豆をラボ内で挽き、挽きたてをすぐにエスプレッソとして淹れています。

最近の新しい取り組みは、7月17日から平日限定でスタートし、好評を得た「アッフォガード」。テレビ番組でも紹介され、お客様のリクエストも多かったので、8月2日から、平日限定で復活しました。でも、アッフォガード専用のジェラートとコーヒー豆が終わり次第の終了となります。少なくとも、8月10日までは確実にもつように準備されているそうですので、気になる方はお急ぎください!ですが、今後も不定期に期間限定イベントとして出していく予定だそうです。

冷やしたグラスに入れた2スクープのジェラートは、北海道、山本牧場のオーガニックミルクを使ったジェラート“ワイルドミルク”を、アッフォガート用に調整したもの。脱脂濃縮乳を加え、無脂乳固形分を増やすことで、濃厚な乳由来の甘さ、コクを強めています。その上から注ぐエスプレッソは、阿佐ヶ谷南の「カフェ フレスコ」でオリジナルブレンドしてもらった豆を使用。こちらは自家製で豆の焙煎から行っているお店で、この「アッフォガード」用には、一般的にエスプレッソに使われる豆の中でも、スペシャリティコーヒーと呼ばれるタイプの、アラビカ種のグァテマラ、コロンビアという品種をブレンドしてもらっています。
「シンチェリータ」の「アッフォガード」用にエスプレッソを抽出する中井氏

「シンチェリータ」の「アッフォガード」用にエスプレッソを抽出する中井氏

エスプレッソは、通常のドリンク用には、30ccほどで提供されることが多いですが、こちらの「アッフォガード」では、6~7ccと少なめに抽出します。「アッフォガード」は、イタリア語で“溺れる”という意味があり、多くのお店では、比較的たっぷりめに注がれたエスプレッソの中に、アイスがひたひたになっている物が多いのですが、中井氏いわく「それだとジェラートがすぐに溶けてしまうので、より美味しく楽しめるようにしたかった」と、少量でより凝縮した味になるよう水分を少なめに蒸らしをかけて、コーヒーの油分とミルクジェラートの乳風味がしっかりと絡むように作っているそうです。

エスプレッソ独特の苦みを、さっぱりかつ濃厚なミルク味がまろやかに包みこんでくれるデザートは、大人が楽しむのにぴったり。グラスにエスプレッソが残ってしまった時には、ジェラートのリフィルもしてくださいます。(1スクープ100円)

「シンチェリータ」では、このような様々な期間限定イベントを、頻繁に提案しています。たとえば、人気のパン屋さん「まちのパーラー」で焼いてもらったオリジナルブリオッシュにジェラートを挟んで販売するコラボレーションが人気の「パンとジェラート」。また、これまでにさくらんぼや黒糖などをテーマに開催してきた、一週間の日替わりフレーバー企画など。雨の日限定フレーバー、一日限りの限定フレーバーなどもよく登場するので、気になる方は、お店のブログやツイッターでチェックするのがお薦めです。
「シンチェリータ」の「ジェラートケーキ<FROMAGE MARBRE (フロマージュ・マルブレ)>」(直径15cm/4300円税・送料込)

「シンチェリータ」の「ジェラートケーキ<FROMAGE MARBRE (フロマージュ・マルブレ)>」(直径15cm/4300円税・送料込)

何種類かのジェラートケーキも販売し、全国配送も行っています。こちらは、今年の春に私がいただいた物。ベリー&クリームチーズのマーブルジェラートの中に、フレッシュ苺のジェラートを組合せていました。大理石のような模様を描くクリームチーズのジェラートと苺の鮮やかな色合いがひときわ印象的で、爽やかな苺の香りや味わいがやさしく広がりました。旬にあわせてフルーツも変わり、今の季節は、周りがブルーベリーソースを練り込んだクリームチーズのジェラートで中が白桃に変わっています。

フランス菓子店などで作られるアイスクリームケーキに比べて、ジェラートならではのさっぱり感と、ナチュラルな甘さに引き立てられたフレッシュフルーツのやさしい味わいがこちらのお店ならではの特徴。また、生地類を使わず全てジェラートで作られているので、食べ応えはありつつも全体に軽やかです。

昨年の秋冬シーズンには、「スープ」や焼き菓子など、常に新しい研究を重ね、販売を試みている「シンチェリータ」。これからも目が離せません。

<ショップデータ>
Gelateria SINCERITA ジェラテリア・シンチェリータ
http://www.sincerita.jp/
東京都杉並区阿佐ヶ谷北1-43-7
電話 03-5364-9430
営業時間 11-21時
定休日 無休


個性あふれる、“職人系”のアイスクリーム、ジェラートの路面店が増えてきた2012年の夏。皆さんもぜひ、それぞれの味わいを楽しんでください。

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