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日本で建築されている「普通の家」とは?(前編)(2ページ目)

よく「普通の家」という言い方をしますが、今、日本で建てられている平均的な家とはいったいどんなものでしょうか? 国土交通省の調査結果から「普通の家」のスペックを探ってみました。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

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一戸建ての9割が木造

住宅を構造別に見ると、「木造」と、鉄筋・鉄骨コンクリート造や鉄骨造などの「非木造」の2つに分けられています。全体の58.9%(2923万戸)を占めるのが「木造」で、「非木造」は41.1%(2037万戸)となっています。2003年(平成15)年と比べると、「木造」の割合はほとんど変わりませんが、「非木造」は226万戸から大幅に増えているのがわかります。

さらに過去にさかのぼってみると、1978(昭和53)年には8割以上を占めていた「木造」ですが、2008(平成20)年では6割を切ってしまいました。反対に、「非木造」は2003年の18.3%から2008年の41.1%と増え続けていて、住宅の非木造化が進んでいることがわかります。

ちなみに、「非木造」を細かく見ていくと、79.9%(1628万戸)を占めるのが「鉄筋・鉄骨コンクリート造」。「鉄骨造」は19.3%(394万戸)で、「その他」が0.7%(15万戸)です。つまり、木造でない住宅のほとんどが鉄筋・鉄骨コンクリート造だといえるわけです。

ただこれは、「一戸建て」のほか、「共同住宅」や「長屋建」が含まれたデータです。一戸建てに限って構造別にみると、「防火木造(1324戸)」が48.2%、次いで「木造(防火木造を除く)(1218戸)」44.4%となっています。全体の9割以上を「防火木造」と「木造(防火木造を除く)」で占めていることから、日本人はかなりの木造好きだと言うことができそうですね。

・一戸建て
「防火木造(1324戸)」→48.2%
「木造(防火木造を除く)(1218戸)」→44.4%

沖縄県の住宅のほとんどは非木造

家

住宅についても、それぞれの地域によって構造や趣向に違いや特長がみられます

ちなみに、住宅の構造別割合を都道府県別にみると、「非木造」の割合が最も高いのは沖縄県(95.1%)で、2位は東京都(62.8%)、3位大阪府(57.6%)、4位愛知県(50.5%)、5位福岡県(49.9%)となっています。大都市がある都道府県で「非木造」率が高いのは納得ですが、それらを抑えて堂々1位を獲得したのが沖縄県。しかも95.1%の住宅が「非木造」なのは驚きました。これは、台風が頻繁にやってくるためなどの気候風土の必要性から「非木造」住宅が普及してきたものと見られます。

その一方で、「非木造」が低い都道府県を見ると、1位は青森県(10.3%)、2位秋田県(11.4%)、3位岩手県(13.9%)、4位山形県(15.6%)、5位新潟県(16.4%)と、積雪が多く寒さの厳しい地方に集中しています。これも気候風土や、その土地の人々の趣向によるものでしょう。このように住宅は、建築地・地域の風土の影響を大きく受けるものなのです。

一戸建ての8割は2階建以上

建物の階数を見ると、一戸建ての場合、全体の84.1%(2308万戸)が「2階建て以上」で、「1階建て」は15.9%(437万戸)しかありません。2008(平成15)年と比べると、「1階建て」は7.2%減少し、「2階建て以上」は6.0%増加しています。残念ながら、調査では「1階建て」と「2階建て以上」の2種類しか分類されていないので、「3階建て」がどのくらい増えているのかわかりません。都市部ではもはや珍しくなくなった3階建ての数値が、今後、まとめられることを期待します。

さて、今回、住宅・土地統計調査のデータを元に、「普通の家」の実像を見てきましたが、敷地面積や延床面積をはじめ、まだまだ興味深いデータが掲載されています。とても1回では紹介できません。そこで、次回の記事も引き続き、住宅・土地統計調査から「普通の家」とはどんな家かを見ていきたいと思います。
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