注文住宅/家づくりのイメージづくり・アイデア

日本で建築されている「普通の家」とは?(前編)

よく「普通の家」という言い方をしますが、今、日本で建てられている平均的な家とはいったいどんなものでしょうか? 国土交通省の調査結果から「普通の家」のスペックを探ってみました。

大塚 有美

執筆者:大塚 有美

長く暮らせる家づくりガイド

みなさんは、ほかの人がどんな家を建てているか気になりませんか? 自分の家が一番いいとだれもが思っていることとは思いますが、それでも人がどんな家に住んでいるのかはちょっと気になりますね。知り合いなどに「お宅の家はどんな家?」と聞くと、よくある回答は「普通の家よ」というもの。では、「普通の家」といった場合の「普通」とは、どんな家なのでしょうか?

国土交通省では、5年ごとに「住宅・土地統計調査」を発表しています。これは、「我が国の住宅とそこに居住する世帯の居住状況、世帯の保有する土地等の実態を把握し、その現状と推移を明らかにする」調査だそうです。この調査結果から、現代の平均的な家、つまり「普通の家」の実像を伺い知ることができそうです。今回は、この国土交通省の調査からデータを抜粋してみましょう。

総住宅数は5759万戸、一戸建ては55.3%

住宅

現在の日本の住宅の総数は5759戸。これからさらに空き家が増えていく可能性があると考えられます

最新の調査結果が平成20年版なので、少々古いデータですが、2008(平成20)年10月1日時点の総住宅数は5759万戸、総世帯数は4997万世帯となっています。その中で、居住世帯の有無別にみると、居住世帯のある住宅は4960万戸。総住宅数の86.1%に人が住んでいて、残りの13.9%の799万戸が空いていることになります。ただ、この中で「空き家」は757万戸で、そのほかは昼間だけの使用など、ふだん居住している人がいない「一時現在者のみ」の住宅が33万戸、「建築中」の住宅が9万戸となっています。前回の2003(平成15)年の調査と比べると、「空き家」が14.8%、97万戸も増えています。

居住世帯のある住宅4960万戸を住宅の種類別にみると、居住専用に建築された「専用住宅」は4828万戸、居住部分が店舗等の事業用の部分や農林漁業の作業部分と結合している「店舗その他の併用住宅」が132万戸。居住専用に建築された住宅が全体の97.3%を占めています。調査では、時系列出の変化も掲載されていて、「専用住宅」の割合は、1968(昭和43)年の80.4%から97.3%へ上昇。40年間で16.9%も延びているだけでなく、「併用住宅」がほとんどなくなりつつあることを示しています。

調査結果の「住宅」には、建て方別に「一戸建て」と「共同住宅」、「長屋建て」が含まれています。建て方別に数を見ると、住宅全体の55.3%(2745万戸)を占めるのが,「一戸建て」。次いで「共同住宅(2068戸)」が41.7%、「長屋建て(133戸)」の2.7%となっています。

建て方別の数の推移を見ると、2003(平成15)年と比べると,「一戸建て」は3.6%、「共同住宅」は10.4%と、それぞれ増加しているのに対して、「長屋建て」は10.3%に減少しています。「共同住宅」の伸び率が高く、さらに以前からのデータと比べてみると、「一戸建て」は1978(昭和53)年の65.1%から、2008(平成20)年は55.3%へと減少しているのに対して、「共同住宅」は1978(昭和53)年の24.7%から2008(平成20)年には41.7%と大幅に上昇しています。

・一戸建て 1978(昭和53)年65.1% →2008(平成20)年55.3%
・共同住宅 1978(昭和53)年24.7% →2008(平成20)年41.7%

次ページでは、「一戸建て」にスポットを当てて、「普通の家」の実像を見てみましょう。


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