今後考えられる進展
日本が批准したということで一区切りついたサイバー犯罪条約問題ですが、これで終わりではありません。サイバー犯罪条約の内容は非常に幅広いので、今後関連分野で日本が法改正をしなくてはならない場面が出てくるかもしれません。例えば、児童ポルノの問題。日本では児童ポルノの「作成・配布」は違法となっていますが、「単純所持」は違法となっていません。一部の自治体で条例によって禁止されているだけです。この点について、日本は海外から指摘されていますが改善に至っていません。サイバー犯罪条約は児童ポルノについての規定もあるので、日本は今後国内法を改正する必要が出てくると想定されます。
その他、国際的な犯罪捜査面での協力が進展していくと考えられます。例えば、日本からアメリカのサイトに不正アクセスや攻撃をした場合、アメリカの警察などの要求に応じて捜査協力をしたり、日本にいる犯人を引き渡したりするケースがありえます。
急激に普及するスマートフォンやタブレットPCの人気が高まるなか、インターネット犯罪を取り締まる法律も大事になっています。この時期に政府がサイバー犯罪条約批准を決めたのも、このような背景があるのでしょう。