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6>住宅ローンを2本抱える。効率よく返済するには?

家計負担の代表が住宅ローン。長期にわたる固定支出は悩みの種、という人も多いはず。ところが、相談者の内海さんをそんな重荷を2つも背負っています。しかも、お子さん3人の教育費はこれからがピーク。難題にぶつかっています。

あるじゃん 編集部

執筆者:あるじゃん 編集部

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横浜市に住む5人家族の内海家。2年前に、住宅を買い替えをしました
内海真紀子さん(仮名・39歳)会社員 家族構成=夫(41歳)会社員、長男(16歳)高2、長女(14)中3、次男(10歳)小5 神奈川県横浜市/持ち家・一戸建て

内海真紀子さん(仮名・39歳)会社員 家族構成=夫(41歳)会社員、長男(16歳)高2、長女(14)中3、次男(10歳)小5 神奈川県横浜市/持ち家・一戸建て

が、 それでも売却した家のローンが残る、いわゆる逆ざやに。結果、ダブルで住宅ローンを抱えることになり、家計に負担が重くのしかかっています……。FPの深野康彦さんにアドバイスしていただきましょう。

■今回の相談内容
・2本の住宅ローンの効率的な返済をアドバイスしてほしい
・現状の貯蓄や投資はこれでいいでしょうか
・保険は妥当かどうか。とくに死亡保障が心配




繰上返済は完済しやすいローンを優先

本文(D=ドクター、K=相談者)
●住宅ローンの返済について、どうしたいと考えていますか?
●現在住んでいる住宅のローンが金利3.15%と高いため、借り換えを希望したのですが、以前の家の残債があるため、金融機関に断られてしまいました。ですから、私名義の残債分を先に完済して、その上で現在の住宅ローンを、より金利の低いローンに借り換え、できれば完済期間も短縮したいと思っています。
●なるほど。ただ、その考えもわかりますが、実現はなかなか難しいと思います。奥様名義の住宅ローンの残高は、まだ1400万円以上はあるはず。これを繰上返済していくのは、現状では相当にきびしい。完済を目指すなら、現在住んでいる住宅のローン(2本あり。詳細は下参照)のうち、借入額472万円の方がはるかに現実的です。そうなると、希望する借り換えはできないでしょう。それでも、1本ローンを完済することで、毎月の支払いが約4万円軽減されます。現在の家計にとってはとても大きいメリットですよ。

【内海家の住宅ローンの詳細】
・現在の住宅(2年前購入/名義は夫/ローン2本)
(1)借入額4217万円/金利3.15%(15年固定)/返済額・月18万470円・ボーナス時2万9217円/H52年完済
(2)借入額472万円/金利3.15%(15年固定)/返済額・月4万2331円・ボーナス時5万144円/H32年完済
・以前の住宅(4年前購入しその2年後売却/名義は妻)
借入額1625万円/金利2.65%(10年固定)/返済額・月6万3977円/H55年完済


保険料は極力抑え、貯蓄ペースを上げる工夫を

●とは言え、400万円超の繰上返済もラクではありません。その方法を考える前
2つの住宅ローンが重くのしかかる内海家の家計。住宅ローンの詳細はデータ参照。

2つの住宅ローンが重くのしかかる内海家の家計。住宅ローンの詳細はデータ参照。(クリックで拡大します)

に、家計の現状について触れたいと思います。気になるのは、まず貯蓄が50万円と少額なこと。たとえば、ご夫婦どちらかが病気で倒れたら、住宅ローンや学資保険の支払いに影響します。したがって、もしもに備え、もっと貯蓄が増えるよう家計に手を加えるべき。
●もしもの場合、終身保険を中途解約すればいいかなと考えているのですが……。
●すると今度は死亡保障がなくなってしまいます。しかも、現時点でも死亡保障はやや不足気味。
●そうなんですか。私も、死亡保障はこれで適正かどうか、気になっていたんです。
●万が一のことがあった場合、住宅ローンはなくなりますが、それでもお子さんの教育費と生活費で、夫婦とも500万~1000万円は上積みしたいところ。しかし、家計から見れば、保険料はできるだけ抑え、その分貯蓄に回すのが望ましい。その意味で、割高な保険料の終身保険は、現状では不向きということになります。
●すぐに解約でしょうか?
●ご主人の終身保険は払済保険(※)にしてはどうでしよう。これまで支払った保険料が無駄にならず、保険料の支払いもなくなります。奥様の変額保険も保険料が大きいだけに払済保険にできればして、できなければこれは解約でもいい。不足している死亡保障は、割安な定期保険で確保する。夫婦ともに保険期間10年、死亡保障1500万円でも、ネット専業の保険会社なら合計で保険料は月7000円程度。これだけの見直しで月3万円、保険料を下げることができます。

たとえ少額の投資でも今は控える時期

●家計でもうひとつ気になるのが投資です。金、プラチナ、それと投資信託を毎月、計1万6000円買っています。それ自体悪いことではないですが、今はそれも貯蓄に回したい。
●投資の積立もやめた方が……。
●いいと思います。これと、先の保険の見直しを加えれば、毎月の貯蓄ペースは6万円にアップします。それだけで年間72万円。これにボーナスからの上乗せで、貯蓄額は年間100万円も無理ではない。150万円~200万円ほど手元にに残し、それ以降は繰上返済にまわす。それを続ければ、5~6年以内に472万円のローンは完済できるはず。
●その後はさらに貯蓄ペースも上がりますますしね。
●そうです。とにかく、利息も含めると総支払額は8000万円を超えるローンを抱えているということ。そして、お子さん3人の教育費は待ったなしで、確実にその時期に発生するということ。それをしっかり認識して、貯蓄最優先で頑張ってください。

■ドクター深野の診断
▼病名
[住宅ローン梗塞の恐れあり]
家計に占める住宅ローンの支払いがあまりに高いため、収入ダウンや大きな支出が発生すると、一気に家計がパンクするリスクを抱える。貯蓄最優先で乗り切るしかない。

▼クリニック全体のアドバイス
◎複数ある住宅ローンの繰上返済は完済がよりしやすいものを優先的に
◎教育費を確保しつつ、貯蓄最優先の家計にシフトする。そのためには、死亡保障は定期保険で確保し、投資もストップすべき


(※)
払済保険(はらいずみほけん)
保険料の払込は中止するが解約はせず、その時点までの解約返戻金をもとに保障額(主契約)が少ない保険に変更すること。保険期間は同様だが、特約の保障はなくなる。

取材・文・撮影/清水京武 監修/深野康彦(ファイナンシャル・プランナー)
イラスト/モリナガ・ヨウ デザイン/引間良基



※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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