製品構成と原材料コスト
売上の構成比は前年とほとんど代わっていません。最も大きいのが乳製品・飲料部門ですが、中でも「旺旺複原乳」という子供用ミルクが同部門売上の9割近くを占めます。この製品は1996年に発売され、同社最大のヒット商品となっています。近年も毎年平均35%ペースで売上が伸び続けています。同社のコスト構成を見てみると包装・容器(プラスチック)が34%、粉ミルクが17%、砂糖が8%、人件費が8%、コンデンスミルクが6%、米が4%、パームオイルが3%、その他が20%となっています。一般的に食品メーカーでは、含有物の原料よりも、包装や容器がコストに占める割合の方が高いものです。そのプラスチック価格は2011年からは下がってきています。その次の大きなコストである粉ミルク価格も2011年夏をピークに大きく下がってきており、米や砂糖なども同様の推移です。
このように、2011年前半は原材料コスト上昇によって粗利益率が下落してしまいましたが、2012年においてはコスト安で利益率の改善が見込まれるところです。
財務状況~フェアバリュー
売上と利益は順調に成長が続いていますが、原材料高でここ2年の利益率は少し下がりました。3つの部門の営業利益率は2010年とほとんど同じであり、それぞれ18.4~19.7%の間にありました。「旺旺複原乳」という単一商品が乳製品・飲料部門の9割近くを占め、言い換えればこの製品が同社売上と利益の半分近くを占めることにもなります。
バランスシートは健全で、営業キャッシュフローは純利益以上に出ています。営業キャッシュフローの範囲内で設備投資などの事業再投資を行い、内部成長に結び付ける非常に健全な形です。