VIX指数と株価の関係は?
では実際VIX指数と株価との関係はどのようになっているのでしょうか。以下は金融危機克服(2009/3/10)以降、2012年5月上旬迄のS&P500指数とVIX指数の日々の騰落率を回帰分析した相関図です。図は縦軸に日々のS&P500騰落率、横軸に日々のVIX指数騰落率を取ったもので、下向きの直線が引けるような関係性があります。これは両者に負の相関があることを意味します。つまり株価が下がるとVIX指数は騰がるということです。決定係数は62.17%なので、完全相関ではありませんが、まずまず高い負の相関があります。従って他のどんな方法(例えば伝統的な分散投資)よりも、相場下落時にリスクヘッジできるという思いから、金融危機以降に同指数を巡る取引が増えているのです。
VIX指数自体は取引が出来ない
ただしVIX指数は日経平均などと同じ、計算上の指数にすぎませんので、それ自体を売買することはできません。そして日経平均先物があるのと同様に、VIX指数先物がシカゴ取引所に上場されており、関連するETF・ETNはその先物を購入することで資産価値を維持しています。そしてVIX指数先物というのは、VIX指数とはまた違う値動きをすることに注意が必要です。上図で左上のVIY00(CASH)と書いてある行の18.94が2012/5/7時点のVIX指数です。前述の通り、これを購入することはできません。売買できるのは、その下にある各限月の先物です。各限月の値が違うのは、5月にそうなるだろうと思われているVIX指数の値と、6月にそうなるだろうと見られる値が違うからです。
VIX指数の平均は25前後ですので、2012/5/7時点では平均よりも低い値です。そこで、限月が先に行くほど今より高くなるだろう、つまり平均回帰すると予想されているため上図のようになっているわけです。反対に、大暴落の最中でVIX指数が50以上になっているような時は、数ヶ月先には落ち着いているだろうと思われ、限月が先に行くほど数値は低くなるはずです。