鉄道ファン必見! 鉄道博物館「碓氷峠鉄道文化むら」
1997年の長野新幹線開業と引き換えに廃止された在来線・信越本線横川~軽井沢の区間(通称「横軽」)。ここに立ちはだかる碓氷峠は、旧国鉄・JRの最大の難所で66.7‰(パーミル;1000m進むと66.7m上がるという意味。一部69‰)という急勾配だった。通常の方法で列車が行き交うことはできなかったので、古くは「アプト式(詳細は後述)」、1963年から1997年の廃止時までは「EF63形」という強力な電気機関車重連(2両連結)で、電車を含めたすべての列車を押し上げていた(下りはブレーキ役として先導)。
このEF63形の車両基地が横川にあり、廃止後、跡地の再開発として1999年に開設されたのが「碓氷峠鉄道文化むら」という鉄道博物館である。
こうした経緯から、展示は碓氷峠を行き交った車両と、旧国鉄時代に活躍した電気機関車が中心となっている。
アプト式とは?
ゲートをくぐって園内に入ると、右手に往年のアプト式用の線路が展示されている。通常の2本のレールの間にラックレールという歯形の特殊なレールを敷き、これに車両の床下に設置された歯車とかみ合わせて急勾配を上り下りするシステムを「アプト式」という。スイスやオーストリアの登山鉄道では今でも現役だ(日本では大井川鉄道井川線に現存する。なお、歯車式鉄道には何種類かあり、アプト式はその一形態にすぎない。リッゲンバッハ式、シュトループ式などがある)。
線路脇のもう1本のレールは第3軌条と呼ばれるもので、高圧電流が流れていた。これは碓氷峠のトンネル断面が小さかったため、電気機関車は頭上の架線からではなく、この軌条から電気を取っていたのである。この方式は、今でも東京地下鉄銀座線、丸ノ内線、大阪市地下鉄などでお馴染だ。また、床下に歯車のある車両は、園内の鉄道展示館内奥に置いてあるED42形電気機関車で観察することができる。