健全な財務内容
同社の製品の広告(アニュアルレポート2011より)
あえて難点を指摘すれば、配当を払いすぎているのではないかという点です。過去2年間の平均配当性向は63.8%です。これは純利益から63.8%を配当に回し、残りを翌年の事業投資へ回している状況です。設備投資資金が足りなくなることもあり、一時的に銀行借入を行なった時期もありました。
一方、ROEは23~25%で推移しています。配当を出してしまえばその資金は株主に数%の配当利回りとなって返ってくるだけです。ROEが数%しかない低利益率の会社なら配当に回そうが、翌年の事業再投資に回そうがどちらでも同じリターンしか産みませんが、同社の場合はなるべく多くの利益を事業に回した方が得策です。計算上は、配当せずにその分再投資すれば、翌年にはその分の資金に対して25%分の純利益が増えることになり、それだけ株価も上昇します。
もうひとつ難点を指摘すれば、死角がない企業だけに常に株価が割高である点です。 同社の株式はディフェンシブなヘルスケアーセクターに属し、財務内容も極めて良好なため、金融危機の暴落時に最も下がらなかった銘柄のひとつでした。それにもかかわらず2009年の暴落からの大反発局面では、他の暴落から急反発した銘柄と同じように株価も大きく上昇しています。
2011年は利益率縮小も長期では中国株を代表する優良株
潜在成長力の大きい消費市場分野のトップ企業として、高い成長率、利益率、優れた財務内容などが魅力です。香港全上場銘柄の中でも間違いなくトップクラスに評価される超優良企業といって良いでしょう。その優良具合は米国の超優良企業であるP&Gを彷彿させます。長期的に資産を緩やかに拡大させていきたい方向けの銘柄です。同社の場合、下がったところ、下がったところで少しずつ買い増していくのも良い投資方法の1つだと思います。ティッシュペーパーのような汎用品は、価格以外に商品の差別化を図りにくく、すでにブランドを確立し、大規模な生産拠点や流通網を持つ大手企業が、さらに圧倒的に強くなっていく分野だと思います。
なお、2011年は前年比8.6%の増益と、同社としては小幅な増益となっています。これは2011年上半期に原材料価格が高騰し、コストが上昇し、利益率が縮小したためです。しかし、2011年下半期からは既に原材料価格は下げ基調になっており、2012年はもっと下がっている最中ですから、2012年は逆にコスト安の反発的な利益成長が期待できます。