そもそも「歯をかぶせる」とは?
歯を金属の塊で包むことで内部の歯を壊れにくくする。
かぶせる治療が行なわれるまでには、いくつかの段階を踏むのが普通です。まず初期の虫歯の治療で行なわれる、歯の穴に詰める樹脂や、型をとってから、はめ込む金属(インレー)。その後、詰め物が大きくなったり、広範囲になるとやっとかぶせる治療が行なわれるのが普通です。
小さい樹脂の詰めもの、金属のインレーなどは、噛み合わせで押されると、そこから周囲の残った歯に力がかかります。人工物の強度も大切ですが、それと同じように周囲の歯の形や量も耐久性に大きく影響します。
そのため保持する周囲の歯が擦り減ったり、もともと歯の面積が少ない、歯にヒビが入ったりすると、金属などが丸ごと「ポロリ」と外れてしまうこととなるのです。これらを防ぐためには、歯の周囲を金属やセラミックなどで、包むように覆い、内部に歯を閉じ込めて噛み合わせの力から歯を保護するのです。
かぶせた直後に注意すること
・高さがしっくりするか?かぶせた直後に一番大切なのは、噛み合わせがしっくりするかどうかです。単純に噛んだ時にピッタリしていても、歯ぎしりなどをすると、歯のぶつかり具合を強く感じることがあります。歯ぎしりなどがある場合には、動きに合わせて形の調整が再度必要になることも……。
まれに取り付けた当日にちょうど良い噛み合わせに調整しても、過去の噛み合わせのイメージが残っているため、歯と歯がぶつかる場所が以前と少し変わっただけで、「強い」「高い」と感じてしまうことがあります。
噛み合わせは2~3日様子をみて、それでも噛み合わせが高くて気になるようであれば、再調整をしてもらいましょう。病院での噛み合わせと、実際に食べる時の噛み合わせが変化していることもあります。
・歯ぐきの違和感がないか?
歯をかぶせる際に使用したセメントなどが、歯と歯の間に残ってしまうことがあります。これが原因で、かぶせた歯の周囲が歯磨きですっきりしなかったり、1~2週間後、周囲の歯ぐきが歯肉炎を起こすこともあります。かぶせたあと歯ぐきに違和感を感じたら、余分なセメントがないか病院で確認してもらいましょう。
かぶせた歯のメンテナンスなど
■虫歯予防かぶせた部分の人工物は、虫歯にならないため、歯の表面は虫歯の心配が無くなります。ただし人工物と歯の接する部分の注意ポイントが2つあります。
・かぶせた人工物と歯ぐきの境目
一般的には、歯周病で注意しなければならないポケットと同じ場所です。歯の表面は虫歯にならなくても、かぶせた人工物と自分の歯の境目にプラークが溜まり虫歯になる可能性があります。
・かぶせた歯と隣の歯との接触面
お互いがかぶせものや人工物である場合は心配ありませんが、隣の歯が天然の歯が残っている場合、その接触部分にプラークが残ってしまうと、隣の歯が虫歯になることがあります。
■噛み合わせのチェック
歯をかぶせるための人工物は、天然の歯と削れるスピードが異なることがあります。このためかぶせてから数年使用すると、天然の歯よりも摩耗が少ないため、削れ残ってしまった部分が次第に強くぶつかり合い、噛み合わせが変化したり、かぶせた歯に負担がかかることがあります。
ちなみに歯と同じように摩耗して、歯にかかる負担が少ないと考えられる金属は「ゴールド(金)系」です。セラミックや健康保険で使用する金属などは、歯よりも硬いことが多いのが一般的です。
歯をかぶせたからといって、ブラッシングや使い方に過度に注意する必要はありませんが、歯ぎしりなどがある場合には、定期的な調整やチェックが歯の寿命を延ばすことにつながるのでオススメです。