2012年上半期、おすすめのヘッドホンは?
1月から6月までの上半期、ヘッドホン市場はいまひとつ地味というか、比較的手堅いモデルが少数出てきた印象です。イヤホン全盛の昨今では仕方ないとも言えますが、ゼンハイザーの「HD700」など注目度の高いモデルやブランドが、上半期に息を潜めていたのがちょっと残念なところです。なので特別に昨年12月発売の、あの製品もチョイスに加えさせていただきました。とはいえ、パイオニアのハイエンド機が6月内に発売されるなど、コレは絶対聴かねば、とワクワクさせてくれるモデルはしっかり登場しています。
そこで今回は「一般的な予算で」「イヤホンでは得られないスケール感を持ち」「長時間聴くほどに良さが感じられる」モデルをピックアップ。評価軸も、DJモニター的な分析力より、心地よさや素直さを重視してみました。
正直な話、今回の選択と評価には悩みまくりました。1位から4位までは横一線だと考えてください。このクラスのヘッドホンは、どれも素晴らしいサウンドですから、順位は好みによるものでしかありません。順位ではなく音の傾向を読んでいただいたうえで、実際に店頭でお聞きになることを強くお勧めします。
【第5位】
大画面TVにふさわしい臨場感。深夜の映画観賞に
デジタルワイヤレスサラウンドヘッドホンシステム パナソニック RP-WF7
第5位はちょっと特殊なモデル。TVやBDプレーヤーの光端子や音声出力端子に接続するだけで、最大7.1ch相当のサラウンド再生がワイヤレスで楽しめるヘッドホンです。最大約30mの音声信号伝送が可能。増設用製品を購入すれば、4人まで同時に楽しむことができます
40型、46型などの大画面TVをお使いでも、TV内蔵のスピーカーで音声を聴いているという方は多いでしょう。しかし、とくに映画やスポーツ、音楽番組などは、大画面に加え臨場感たっぷりのサウンドがあって初めて完成する世界なのです。
高級レストランで素晴らしいディナーを味わおうとしたのに、テーブル脇のラジカセでBGMを流されたら雰囲気壊れますよね? ボディ内スペースやコストの制約を真っ先に受けやすいTV内蔵スピーカーは、音質面でイマイチなことが多い。ならばこのサラウンドヘッドホンを、というお話です。
この「RP-WF7」は疑似サラウンド方式ですから、背後から音が飛んでくるような音場感までは期待できませんが、内蔵スピーカーのまま映画を観るのとは比較にならないほどの臨場感が楽しめます。単四形乾電池でも充電池でも、充電しながらでも使えますし、3Dグラス装着時にもこめかみが痛くならない工夫も親切。
中高音の抜けが抑えられているなど、オーディオ的な高音質とはちょっと違う部分はありますが、低音感やボイスの明瞭さなどはなかなかで聴きやすいのが魅力。あくまでも雰囲気を楽しむためのアイテムとしてお勧めです。
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