自宅用シングルカップコーヒーを秋に投入
米国で最も熱く、急成長しているコーヒー市場は、自宅で一杯から抽出できるコーヒーで、グリーンマウンテンコーヒーロースターズ(GMCR)のキューリグシステムが市場シェア一位で有名です。日本ではこの一杯50セント(K-CUP)のおいしいコーヒーは業界のしがらみで輸入できず、購入できないのですが、セレブの一部が海外に定期的に行って購入して持ち帰るなどして密かに人気化しています。ネットで平行輸入物も売られていますが、倍以上の値段がしているようです。そしてスターバックスはグリーンマウンテン社と昨年提携してK-CUPと呼ばれる専用カートリッジをスタバブランドで発売し、両社の株価は上昇しました。グリーンマウンテンはこの他に何百種のK-CUPを製造しており、「タリーズ」ブランドなどもあります。2012年3月にスターバックスはグリーンマウンテンとの提携は維持したままで、新たに同社専用のシングルカップコーヒーシステム、「ベリズモ」をドイツのコーヒー機器メーカーと共同開発し、秋に投入すると発表しました。このマシーンはグリーンマウンテンのK-CUPを作る「キューリグ」ではなく、エスプレッソもできるという別のものです。自宅で一杯からスターバックスの多くの種類のコーヒーやお茶が作れるというので、期待がかかっています。
スターバックスの使命の一つに環境に対する責任がありますが、K-CUPは大量に捨てられるという環境問題がありました。この点を独自システムを秋に作ることで、何らかの解決方法が提示される可能性もあります。例えば回収システムとして、店に廃棄K-CUPを持ち込めば何個か新しいのと交換されるなどすれば、「ベリズモ」の市場シェアが高くなるかもしれません。ニューヨークなどでは1ブロックごとにあるスタバの店がコンビニのようにカートリッジ回収機能を果たせます。発表と同時にスターバックス株価は上昇しましたが、グリーンマウンテンの株価は現在トップの市場位置を「ベリズモ」によって崩されるのではないかとして暴落しました。
今後は新興国での成長が期待できる
そのほかにも、「レッドブル」などの商品で賑わう炭酸系エナジードリンク分野にも参入、また現在7割を占めている米国市場から徐々に新興国のウェイトが増えて急成長しているという、根本的な成長要因があります。中国をメインとするアジア地区の店舗数は、急成長しているもののまだ全社の4.7%しかありません。しかし、今後は米国並みに増えるかもしれませんし、インドはタタ財閥と組んでこれから大きく動きだそうか、というところです。
参考:グローバルグロースレポート