/肩こり・腰痛の薬・湿布・温湿布

薬局で購入できる腰痛の薬

最近、姿勢が悪い、例えば、長時間寝ころんでITツールを見たりして、腰に負担がかかっている人が多いようです。もちろん、運動不足による腹筋の低下もあるでしょう。マッサージや整体などで良くなることもありますが、時間がなかなか取れない事もあります。そこで、薬局で購入できる薬とその注意点を紹介しますので、セルフメディケーションにお役立てください。

三上 彰貴子

執筆者:三上 彰貴子

薬剤師 / 薬ガイド

腰痛について

ここ最近、同じ姿勢でずっと作業していると腰が痛くなって、整体などに通う事が多くなってしまいました。寝転がってIT端末を操作したり、腹筋が弱くなったことも一因かもしれませんが…。ちょうど、腰痛のお薬について色々調べましたのでご紹介します。
飲み薬

海外では、飲み薬が主のようです。



まず、お薬の治療の前に、なぜ腰が痛くなったのか、原因を探ることも重要です。痛みが酷かったり、数日たっても良くならない場合は、受診するようにしてください。

女性で怖いのは、腰痛かと思ったら、がんの骨転移による痛みだったと言う事もあるようです。乳がんなど骨に転移しやすい癌は、骨盤や背骨に転移して痛みが出ることがあります。原因不明の腰痛や背中の痛みが続く場合は、一度、整形外科だけではなく、外科を受診してみることも大切です。

腰痛の飲み薬

薬局で購入できる腰痛の飲み薬は、ほとんどの痛み止め(解熱鎮痛薬)に適応があります。
成分名としては、次のようなものがあります。

アセトアミノフェン(パラセタモール)
一般用医薬品(OTC医薬品)の中で小児(15歳未満)が服用できる成分です。あまり炎症を抑える作用は、期待できません。お酒を良く飲む人、肝臓の調子が良くない人などは、避けることが望ましいです。

・アスピリン(アセチルサリチル酸)
ピリン系ではありません。副作用として出血傾向がありますので、歯の治療や手術の予定がある方、ワーファリンやプラビックス、プラザキサなど血液をサラサラさせる薬を飲んでいる方には、特にお勧めできません。

・イブプロフェン
腎臓の調子が良くない人は、避けることが望ましいです。

・イソプロピルアンチピリン(IPA)
ピリン系の薬ですので、ピリン系の薬で発疹など副作用が出た方は、避けてください。

・ロキソプロフェン (商品名:ロキソニンS)
第一類医薬品ですので、薬剤師からの説明を受けて購入してください。

なお、痛み止めの服用により喘息の発作が出た方は、上記の薬はお勧めできません。医師の受診を受けてください。(やむを得ない場合、少量のアセトアミノフェンを使う場合もありますが、同じ酸性のNSAIDなので発作が出る可能性がありますので、医師の判断を仰いでください。)

最近、アセトアミノフェンを主成分とした“腰痛”の飲み薬として、ラックル速溶錠(日本臓器製薬、第2類医薬品)が発売されました。ヨーロッパのガイドラインでは、腰痛の第一選択薬にアセトアミノフェンの飲み薬が推奨されていることもあり、腰痛にターゲットを絞って製品化しているようです。

ミント味の少し大きめな錠剤で、飲み込みやすいように噛み砕きながら口に含むとすぐ溶けます。ただ、水なしで飲める薬では無いので、喉や胃に貼りつかないように、必ず、水と一緒に飲みこんでください。大きめの錠剤なので、高齢者でも取り出しやすく、水で溶かして飲めるので、飲み込む(嚥下)機能が低下している方でも飲み込みやすくなっています。

塗り薬

色々ありますが、ここでは比較的新しい、医療用の成分であるジクロフェナクナトリウムが配合されている薬をご紹介します(スイッチOTC)。
・ボルタレンACゲル(ノバルティス)……海外でとても売れているようです。
・ジクロテクトゲル(大正製薬)
・フェイタスZゲル(久光製薬)
・イブアウターゲル (エスエス製薬)
※第1類医薬品で、薬剤師からの説明が必要になります。

成分と含有量は一緒ですが、メーカーが違います。ゲルタイプで、すっと伸びてべたつきません。少しすーっとします。ローションタイプもあります。

貼り薬

こちらも、色々ありますが、上記で紹介したジクロフェナクナトリウムが含まれる貼り薬で、大判のものをご紹介します。
・ボルタレンACテープL(ノバルティス) 
・ジクロテクトテープL(大正製薬)
・イブアウターハップL(エスエス製薬)
24時間の持続効果があり、1日1回使います。第一類医薬品です。

以下は、以前から発売されていたフェルビナク配合の製品の大判タイプです。1日2回使います。第2類医薬品です。
・フェイタス3.5αL(久光製薬) 

その他、急性の痛みではなく、患部を温めて血行を促したり、気持ちが良ければ温湿布もあります。ただ、唐辛子の成分が入ってピリピリする事があるので、肌の弱い方は様子を見ながら使ってください。お風呂に入る30分以上前にはがさないと、お湯の温度でひりひりする事もありますので、注意が必要です。

貼り薬の注意

ケトプロフェンという成分を製品(オムニードケトプロフェンパップ(テイコクファルマケア)、エバテックA(ゼリア新薬))は、光線過敏症といって、貼った後に直射日光を浴びるとかぶれる症状がみられるので、気を付けてくださいね。医療用ではモーラステープ、ミルタックスなどがあります。はがしてから1週間ぐらいたって大丈夫かなと思っても、直射日光を長時間浴びるとかぶれる事があります。

日焼け止めを塗れば大丈夫な気がしますが、実は、一部の日焼け止め化粧品が含まれるオクトクレリンという成分を付けることで、光線過敏症が出やすくなったり悪化する事がありますので、更に注意です。

最後に…

日本では、腰痛や背中、肩こりに貼り薬を使う事が多いのですが、海外では、飲み薬や塗り薬を用いる方が多いようです。色々な理由がありますが、例えば、体毛が多めで付きにくかったり、皮膚が弱くてはがす時に痛みを伴うことから使われなかったり、また、気温や湿度が高いところでは、貼ってもはがれ易かったり、汗で湿布が溶けてしまうこともあります。
日に何度かお水を浴びる習慣がある場合も、はがれやすくなると言う事もあるようです。その他、成分によっては貼り薬の方が高価なことも一因のようです。



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