心臓の構造
心臓には4つの部屋があり、大きな血管がつながっています。
血液は、
全身→大静脈→右心房→三尖弁→右心室→肺動脈弁→肺動脈→肺(ここで二酸化炭素と酸素が交換され、酸素の多い血液に)→肺静脈→左心房→僧房弁→左心室→大動脈弁→大動脈→全身
と流れていきます。
胎内では、最初、心臓は1つの部屋ですが、だんだん4つに分かれていきます。生まれる直前まで左右の心房中隔には、卵円孔という穴が元々開いています。
左右心房の間にある心房中隔、左右心室の間にある心室中隔という壁に穴が開いている病気があり、それぞれ、心房中隔欠損症、心室中隔欠損症と言います。
心房中隔欠損症
左右の心房の間の壁に穴があるのが心房中隔欠損症です
2,000人~1,000人に1人の頻度である病気で、女性に多いと言われています。
症状は無症状が多く、左から右への血液が多いと、時に胸が盛り上がった形になります。
心臓の音を聴く聴診によって、心雑音で発見されたり、学校での心電図では電気の流れが右寄りである右軸偏位、電気の信号の伝わりが悪くなる不完全右脚ブロックという形で発見されます。
穴は自然に閉じると言われ、穴の大きさが8mm以下なら1歳6ヵ月までに閉じます。ただし、穴からの左から右への血液量が多い状態を放置すると、心臓の働きが悪くなる心不全、肺の血管が狭くなる肺高血圧、心臓の拍動がうまくできず震えるような動きになってしまう心房細動になってしまいます。
そこで、肺への血液が体の血液の1.5~2倍になった時、つまり、穴から20%~33%の血液が左から右に流れる状態になると、穴を閉じる手術が必要になります。手術時期は4~5歳ぐらいですが、心不全や肺高血圧が早くから発症している人ができるだけ早期に手術が必要です。
足の付け根にある大きな血管である大腿静脈からカテーテルを入れて、穴を傘のようなもので閉じる方法もありますが、現在ではできる施設が限られています。
次のページでは心室中隔欠損症について説明します。