一夜城ロール(1500円)
ファーム限定のロールケーキ。この地域でとれた温州みかんをたっぷりと使い、ジャムにして生地に塗って巻き込んでいるのに加え、ふわふわの生地の中にも練り込んでいます。甘さのみならず、ほどよい酸味のあるみかんの味わいと香りが、まろやかなクリームに包み込まれて、やさしいバランスとなっています。他にない珍しい特徴は、檜の板の上にのっていること。檜の移り香がほんのりと清々しさを添えます。もともと、小田原の名産・蒲鉾から連想したもので、小田原の間伐材を使っているため、エコロジーへの取り組みともなっているそうです。
さらに檜の力の成せるわざか、どうやら菌の繁殖を抑えられるといった現象が見られ、小田原地域でも大いに注目され、今後の応用が期待されているのだそう。
鎧塚シェフが日頃より尊敬し盟友でもある片岡鶴太郎さん直筆の「一夜城 Yoroizuka Farm」という店舗名のロゴ。画家としてもご活躍される片岡さんですが、作品としての権利も含めて快く鎧塚シェフに全てを託してくださったそう。その価値あるロゴを裏面に彫り込んだ檜の板は、ロールケーキを食べ終わった後、それ自体も飾っておきたい貴重な品です。
一つずつ手作りで、一日40本限定、ホールサイズのみとなりますが、大変な人気のため、予約は受けていません。土日などは開店前から並ばれる方もいらっしゃるというほどだそうです。味わってみたい方は、ぜひ、少しでも早い時間帯にトライすることをお薦めします。
「一夜城 ヨロイヅカ・ファーム」オリジナルアイス (各350円)
ゆず、温州みかん、とちおとめ、ふじ(りんご)、巨峰などのフレーバーは、果物の風味をそのまま閉じ込めたシャーベット風。ファーム限定で旬の時期に応じて登場します。苺の甘酸っぱい風味と香りが存分に味わえる「とちおとめ」や、香り高い「ゆず」、赤い皮の粒々入りでさわやかな「ふじ」など、お店のオープン時にいただいた時もとても美味しかったのですが、その時点では、まだファーム栽培の果物ではありませんでした。それらを使ったものは、今後、実りの季節を迎えると共に順次登場していくとのこと。楽しみが尽きませんね。
なお、ラベルの色が黒いのは、「トシ・ヨロイヅカ」スペリャリテのアイス。バニラ、ピスタチオ、KAOKA(オーガニックチョコレート)、マンゴ、芋焼酎といったラインナップで、各380円です。
コンフィチュール/蜂蜜
ヨロイヅカ・ファーム生まれの小田原ならではのコンフィチュールも登場しており、「温州みかんミント」(550円)は、そのうちの一品です。温州みかんは一夜城地区を含めた小田原のみかんを使用。みかんだけだと、少しぼやけた味になりがちなところ、ミントを加えることでバランスを取ったそう。ハーブも自家栽培したいという鎧塚シェフ。いずれ、みかんもミントもファーム産の、文字通り「地産地消」のコンフィチュールになることでしょう。楽しみですね。蜂蜜も、「ミエル・小田原百貨蜜」「ミエル・小田原蜜柑蜂蜜」(各550円)などが登場。なんと、敷地内に蜜蜂の巣箱を設置しており、今後は養蜂も行っていくというから驚きです。クローバーも植えられており、今春以降、花が咲いたらその蜂蜜も採れるようにしたい、とのこと。
なお、お気づきかもしれませんが、ファーム限定品を見分けるには、オレンジ色のファームのロゴ入りラベルが貼ってあるのが目印となります。「トシ・ヨロイヅカ」ロゴ入りの黒いラベルの商品もあるので、およその目安としつつ、念のため店員さんにご確認ください。
さて、「一夜城ヨロイヅカ・ファーム」でもう一つ注目したい点があります。
東京のお店では、どちらかと言えばフランスのデザートを主流にしているのに対して、こちらでは、鎧塚シェフが最初に修行したスイスやオーストリア(ウィーン)のデザート、ケーキのラインナップが豊富であることです。
それでは、次のページで、そんな「一夜城ヨロイヅカ・ファーム」ならではのデザートやケーキをご紹介します。