コンクリート住宅/コンクリート住宅の基礎知識

コンクリート住宅の特徴~大成建設ハウジング取材から(2ページ目)

今回は「コンクリート住宅」をクローズアップします。一般的に「頑丈そう」などというイメージがありますが、その実態はどうなのでしょう。大成建設ハウジングに関する取材を通して、そのあたりを考えてみます。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

大成建設ハウジングの取材は、東日本大震災後の被災住宅の調査報告を聞くのが主な目的でした。そこで報告されたのが、これまで書いてきた耐震性や耐火性の話が中心でしたが、もう一つ、「パルコン」の津波被害の状況についても発表されました。

「減災」の効果も期待されるコンクリート住宅

具体的には、津波浸水エリアを含む揺れの大きかった地域に建てられていたパルコンが、1棟も倒壊せず流されもしなかったということ。ただこの話は少し慎重さが必要になります。実はこの点についてご紹介すべきか、私は随分悩みました。

津波浸水地域のパルコン

津波被害に遭っても流されることなく残った「パルコン」。構造躯体の強さがうかがえる(写真は大成建設ハウジング提供。クリックすると拡大します)

今回の津波被害は、戸建て住宅が想定すべき災害の域を超えていたと思います。大規模なコンクリート建物が倒壊している事実もありますから、皆さんをミスリードする可能性も否定できないと思っています。

流されずに残ったとしても津波の大きな被害にあった地域ですから、これから補修をしても住み続けられるわけではありません。つまりコンクリート住宅=津波にも耐えられる、というわけでは必ずしもないわけです。そもそも津波対策というのは、戸建て住宅が担うべき責任ではないと私は思うのです。

ただし、例えばパルコンの裏に位置していた建物が流されずに残っていたという事例や、火災に遭っても燃えなかったなどといった事例が報告されたことは、今後の住宅のあり方を考える点で参考になる部分もあると思います。

東日本大震災以降、「防災」だけでなく「減災」という考え方も注目されるようになりました。減災は文字通り、災害の被害をできるだけ減らしましょうという考え方。その中で、大津波や大火災に関する減災は街づくりの問題であり、これは国や自治体が担うべきものだと思います。

一方、個人が建築する住宅の場合、減災の責任を担うべきは耐震性や耐火性を確保することです。逆にいうと、これから新たに住宅を建築する方には、十分な耐震性と耐火性を備えた住宅を建てなければいけないという責任があるということです。

省エネ性能や快適性能でも高いレベルが可能

その積み重ねが、災害に強い都市や街づくり、暮らしの安全を確保するということにつながるわけです。今回の大成建設ハウジングの取材を通じて、私はそうしたことを改めて考えさせられました。

シアタールーム

コンクリート住宅の特徴の一つに遮音性の高さがある。写真のようなシアタールームをつくるのにも適している(クリックすると拡大します)

ところで、コンクリート住宅についてはまだまだわからないことが多いと思います。例えば建築コストもその一つ。一般的に「すごく高い」というイメージがあるようです。大成建設ハウジングの場合、「大手ハウスメーカーと同じレベル」といいます。

エネルギー問題がクローズアップされる昨今、省エネや節電に関連する環境性能についても気になるところ。その点、コンクリートは元々、蓄熱性が高い素材であり、適正な断熱工事を施せば快適な温熱環境の住空間を実現できるといいます。「パルコン」の場合は一般的な住宅に比べて高いレベルの温熱環境が確保されています。

また、大成建設ハウジングの場合は、24時間全館空調システム「タルカス-e」という仕組みも用意も用意されています。質の高い温熱環境と室内空気質、さらには経済性も兼ね備えたシステムとして定評があります。

温熱環境など住宅の快適性は、断熱素材に何を使うかで大きく変わってきますが、それはどのような工法の住宅であれ同じこと。コンクリート住宅でも環境に優しく経済的な住宅を実現することは、十分に可能ということです。

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