建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

築80年の民家を再生[堀切菖蒲園の家]

かつて財団法人「同潤会」が建設した築80年の木造住宅の改修です。ここは建て主のMさんの叔母たちの幼少期からの住まいですが、床は沈み、柱は傾き、外壁、屋根、建具のほぼ全てが限界に達していました。大変愛着を持っておられるこの建物の良さが何かを考え、その歴史を繋ぎ、住空間をその延長線上で発展させる改修を施しました。

執筆者:川畑 博哉

東京の下町の雰囲気を色濃く残す葛飾区の一画。この落ち着いた住宅地に、今から80年前に財団法人「同潤会」が、関東大震災の復興住宅として木造平屋建ての分譲住宅を20軒ほど建設しました。時を経て現在はこの一軒を残すのみとなり、建て主のMさんは住み慣れた家なので改修を決意。そこで、仕事の縁で知り合った、民家改修のエキスパートであるアカデメイアの今井俊介さんに設計を依頼しました。

懐かしい昭和初期の佇まい


写真をクリックすると次の写真に進みます
外観
1. 玄関柱や塀は既存のものを再利用。
2. 塀と同じデザインで仕上げたガレージの扉。写真:アカデメイア
3. 内側から見たガレージの扉。
4. ガレージの扉をスライドしたところ。
5. 丸い飾り窓や細い桟の玄関の引戸も既存のものを再利用。白い壁は漆喰仕上げ。写真:アカデメイア


この家の正面に立つと、昭和初期の木造住宅が醸し出す独特の懐かしさを感じます。外観からは80年前の家の改修とは思えないくらい、昔の家のままの佇まいですが、左側の塀は、以前の塀のデザインを踏襲したガレージの扉となっていて、いっぱいに開けば大型車も余裕で停まれるガレージになっています。母屋の下見張りの板壁も既存のものをそのまま使い、新築当時の凛とした佇まいを今に再現しています。

◆建築家プロフィールと建築データ


  • 1
  • 2
  • 3
  • 5
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます