癌(がん)/がんの初期症状・早期発見

咳・痰は肺がんの初期症状?普通の風邪との見分け方

【医師が解説】咳や痰はごく一般的な症状です。しかし、風邪などが治った後にも極端に咳症状だけが長引く場合や、血が赤い筋のように混じる痰が出るような場合、肺がんの初期症状にも同じようなものがあることも覚えておいた方がよいでしょう。肺がんの初期症状の咳や痰の特徴、見分け方について解説します。

狭間 研至

執筆者:狭間 研至

医師 / 癌ガイド

風邪の咳だと思っていたら肺がんの初期症状というケース

咳をする男性

風邪をこじらせたときにも長引きやすい咳や痰の症状。しかし、肺がんのサインのこともあります

職場でゴホゴホ、家でもゴホゴホ。風邪は治ったのに、また咳だけは一向に治らなくて……という方はいらっしゃいませんか? 確かに、風邪をこじらせたときなど、解熱後も咳や痰の症状がしばらく続くことは珍しくありません。多くの場合は、風邪薬などで症状を抑えながら、栄養と休養をしっかりとることで自然に軽快します。

しかし、咳や痰は肺がんの初期症状のひとつでもあります。注意すべき長引く咳や痰について解説しましょう。
 

痰に血が混じる・赤い筋が入る場合は要注意

痰と一口に言っても色や性状はさまざまです。薄い透明なものから、白っぽいもの、黄色や緑色、茶色、黒色など色もさまざまですし、さらさらのものから粘度の高いものまであります。

一般に、細菌の感染があれば痰は粘っこく色がついてきますし、茶色や黒などは喫煙の影響による場合も多いです。長引く風邪のときなどは黄色ブドウ球菌や緑膿菌などの細菌感染が起こるので、特に色がついた粘っこい痰が出てきます。
 
痰の症状とタバコ

痰の色や状態は色々と変わります。タバコでは茶色や黒っぽい痰がでることがあります。

しかし、赤やピンク、またかさぶたのような赤黒い色の痰が出る場合は、これらのものとは明確に異なります。赤やピンク、赤黒いのは血の色であることが多いのですが、通常は血が痰に混じることはありません。肺がんに限らずがんは組織がもろく出血しやすいので、痰に血が混じりやすくなります。もちろん、咳が続いたときなどに稀に混じることはありますが、とくに痰のなかにすっと線を引いたような赤い筋があるときなどは要注意です
 

極端に咳が長引く場合に、考えられる病気が

風邪による咳は、初期であれば痰を出すためのいわば自衛的な咳ですが、痰がある程度出てしまえば次第に治まっていきます。風邪をこじらせた場合や喘息などの基礎疾患がある場合には、気管支粘膜に炎症がのこり過敏性が増して、ほこりや温度差などちょっとしたことで咳が続いて出ることもあります。マイコプラズマ肺炎などでも咳が長引きます。

しかし、これらの咳は通常は炎症の軽快、感染の改善によって治まっていきます。もし、通常の気道感染症治療によってほとんど改善が見られない咳であれば、近年、結核の可能性もありますが、やはり肺がん、特に気管に近い肺門部と呼ばれるところにできたがんの可能性も考えて、適切な検査を受けるのがよいでしょう。
 

咳・痰で肺がんの不安を感じたときも、まずは内科の受診を

痰や咳で気になることがあれば、心配しすぎずに医療機関を受診しましょう。

ほとんどは心配ない咳や痰ですが、心配なことがあれば、まずは医療機関へ!

もちろん、咳が少し長引いたり、痰が出るような場合でも、圧倒的に多いのは長引く風邪を始めとした通常の呼吸器感染症です。肺がんの頻度はこれらに比べるとずっと低いので、あまり神経質に心配しすぎることはありません。

しかし、それまでにないほど長びく咳や、血が混じるような普段と違う痰が続くなど、少しでも気になられたのなら、思い立ったが吉日です。いきなり専門的な検診を予約しなくても大丈夫ですので、まずはすぐに行けるかかりつけの内科などを受診して、医師の診察を受けられることをおすすめします。
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