照明機器のデザインは結構難しいらしい
例えば、仕事をしている机の上を照らす場合と、細かい作業をしたいから手元を明るくする場合、欲しい光は違います。ベッドサイドで欲しい光と、本を読みたい時に欲しい光も同様。それ以前に、手元などを照らしたい場合、白熱球やタングステン球はもちろん、蛍光灯でさえも、その熱が邪魔で、あまり手や顔の近くで使いたいものではありませんでした。蛍光灯は熱さはさほどではないけれど、細かい作業や本を読む時には、ちらつきが邪魔でしたし、そして何より、角度などを変えられる照明器具は、結構サイズが大きくて、置き場所があまり自由ではありませんでした。その問題の多くは、LEDによる照明器具が安価になるにつれ、徐々に解決していますが、それでもまだ、デザインや機能の面で、旧来の照明機器の形や機能にとらわれて、せっかくのLEDによる照明のメリットを活かせていません。
それは、デジタルになって、ようやく一眼レフのような面倒な機能無しのカメラが作れるようになってもなお、一眼レフのスタイルやデザインが主流のままという状況と似ているかも知れません。それでも、バルミューダデザインの「Highwire」や「Airline」のように、LEDの特性を活かした専用照明の登場などで、状況は変わりつつあります。多分、現時点で、未来の常識のお手本になるようなLEDの照明機器のひとつが、今回紹介する、Pabloの「PIXO」ではないでしょうか。
フレキシブルに光源の位置を変えられる構造
「PIXO」の一番の特長は、単に二つの円盤をシャフトで繋いだだけのようなシンプルなデザインによる、自由な方向転換機能です。台となる円盤に繋がっているシャフトは180度、つまり全方向に動き、そのシャフト自体も360度回転可能。そのシャフトに付いている光源部の円盤も360度回転するので、実質上、あらゆる角度、方向に向ける事ができます。シャフト自体が180度動くため、光源と設置面との距離を0にすることも、完全に真上を照らす事も可能なスタンド付きライトというのは、おそらく他にはないと思います。この自由な動きに加えて、約42cmというそれなりに長さのあるシャフトのおかげで、例えば、パソコンのキーボード部分だけを、照明機器自体は視界に入らないように照らしたり、手元だけを真横から照らしたり、ベッドサイドで、仰向けに寝ながら本を読む時に、下からページを照らしたり、といったことが可能です。しかもLEDだから、近くから照らしても熱くなる心配はありません。光源部分が平たいのも扱いやすいですし、光源の角度を変えやすく、可動部分の動きがスムーズなので、簡単に目的の角度で固定できます。
シンプルな構造で、光源も平たいため、部屋の隅などの狭い場所に設置して、そこから壁に向かって光を照射すれば、間接照明的な使い方も可能。光温度が低め(3000K)なので、柔らかくて目に優しく、間接照明にも向いています。この構造は使わない時は平たくたためるため、本棚の隙間などに収納できます。この構造を思いついただけでも、LED照明の可能性を広げたと言えるでしょう。
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