スペイン女性は日傘を使いません。グエル公園でも悠々と日光浴です。(c)2010,KAWAI Katsuyuki

スペイン女性は日傘を使いません。グエル公園でも悠々と日光浴です。(c)2010,KAWAI Katsuyuki

ビタミンDといえば体内のカルシウム濃度を一定に保ち、生命の維持や骨の健康に欠かせないものであることはよく知られています。
この数十年でビタミンDの作用機序が解明されてきて、骨の代謝に直接関係のない組織(例えばすい臓のベータ細胞や免疫細胞)にもビタミンD受容体があることが発見されました。
さて、ビタミンDは糖尿病にどんな関係があるのでしょうか?

ビタミンDは一種のホルモンです

私たちが食物から取ったり、日光の紫外線を浴びて皮膚でコレステロールから作ったビタミンDは、そのままでは体の中で作用しません。
肝臓で25位の炭素に水酸基が付けられ、腎臓で1位の炭素にも水酸基が付けられた、いわゆる活性型ビタミンD(1.25-ヒドロキシビタミンD)に作り替えないと働きません。
この活性型ビタミンDは血中にごく微量にしか存在せず、標的細胞の核内にあるビタミンD受容体と結合して特定のタンパク質を生成しますから、働きかたはまさしくホルモンなのです。

カルシウムとビタミンD摂取量と糖尿病との関連について

2010年2月に厚生労働省の研究班が、ビタミンDとカルシウム摂取が糖尿病発症を予防し得ると発表しました。
英国からも「幼児期のビタミンD摂取で成長後の1型糖尿病リスクが低下」という発表がありました。
オーストラリアからも、血中ビタミンDレベルが低いと、高いグループに比べて57%も2型糖尿病のリスクが高まるという発表[Diabetes Care March 23,2011]もありました。

同様の論文はいろいろありますが、このような情報に接すると、まるでビタミンDのサプリメントが糖尿病予防になるような錯覚を覚えます。
でも、これらはビタミンDと糖尿病には相関があるようだ、と言っているのであって、ビタミンD不足が2型糖尿病の原因になるという因果関係を証明したものではないことに注意しましょう。

既に、2型糖尿病者にビタミンDサプリメントを与えたり、ビタミンDの血中濃度に不足がない糖尿病予備群や2型糖尿病者に更に活性型ビタミンDを高濃度に投与した試験が行われていますが、結果はまちまちです。インスリン分泌が増えたという結果もありますし、効果なしという論文もあります。
逆に、ビタミンD不足で2型糖尿病のアジア系英国人に、薬理作用を期待して高濃度の活性型ビタミンDを投与したら、インスリン抵抗性が強くなって血糖コントロールが悪くなったという論文もあります。

活性型ビタミンDは第一にカルシウム代謝を調節するホルモンですから、健常者ではその血中濃度は常に一定に維持されています。

ですから、インスリン分泌を増やしたり、免疫細胞のマクロファージの活性を抑えるために活性型ビタミンDを投与することは、骨への影響や高カルシウム血症の心配があります。

このような骨への悪影響を防ぐため、標的細胞のみに作用する活性型ビタミンDアナログのパテントが既に2000件もあるそうですから、いずれの日にかビタミンDが糖尿病治療に応用されるかも知れません。

上記の厚生労働省のレポートでは、生活習慣でビタミンDとカルシウム摂取の多い女性が2型糖尿病予防の効果がありました。しかし、上記の同じ文脈中のオーストラリアの研究では、血中ビタミンD濃度が高くて、食事のカルシウム摂取が多くない人たちに2型糖尿病予防の効果があったのです。
かなり錯綜してますね。

さて、サプリメントは医師に相談することにして、私たちは自分で出来るヘルシーライフを心掛けましょう。
晴れた日に30分もウォーキングをすれば、一週間分のビタミンDが手に入ります。
ビタミンDの多い食品はあまりありません。
サケなどの脂の多い魚が主な供給源です。

■関連リンク
カルシウムとビタミンD摂取量と糖尿病との関連について(厚生労働省)



1日の目安1000IUを1粒で摂取できるものも。
ビタミンDを含む主な市販サプリメントは
コチラから。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。