「個人向け復興国債」が人気!
2012年1月10日財務省発表によると、昨年12月から募集を開始した「個人向け復興国債」の12月応募額は、合計7,454億円で、9月応募額のおよそ2倍になったとのことです。「個人向け復興国債」は、資金使途を復興のための費用に限定している点や、発行がボーナス時期に重なり、銀行の定期預金金利が低水準であったことから、「金利の魅力と少しでも東日本大震災の復興に役立ちたい」という思いから、人気が集まったと言えるでしょう。2012年3月から「個人向け復興応援国債」が新登場!
財務省では、「個人向け復興国債」に加え、2012年3月から、新商品「個人向け復興応援国債」の募集を開始します。この「復興応援国債」は、現行の変動10年の個人向け国債をベースに、東日本大震災からの復興を応援する観点から、当初の3年間は、0.05%という低い金利とする代わりに、「復興応援国債」の発行から3年目に「東日本大震災復興事業記念貨幣」が贈呈されるというものです。記念貨幣は、一万円金貨と千円銀貨の2種類があり、残高1,000万円ごとに一万円金貨1枚、100万円ごとに千円金貨1枚が贈呈されます。
この「個人向け復興応援国債」は、低利で資金供給し、復興支援に協力した証として記念貨幣が贈呈される、というもので、発想としては面白い商品だと思います。
1,000万円で復興応援国債を買った場合の損得は?
10年変動国債の金利は、半年ごとに基準金利(前月発行の10年固定国債をベースに算出)×0.66で計算されます。復興応援国債は、当初3年間は0.05%の固定金利となるので受け取る利息はどのくらい少なくなるのでしょうか?変動金利なので、将来のことは予想できませんが、仮に現在の金利水準1%(2012年1月12日は0.95%)が3年間続くと想定すると、1,000万円を預けた場合、通常の10年変動国債と比べると、18.3万円受け取る利息が少なくなります(1,000万円×(0.66%-0.05%)×3年)。18.3万円分の利息の代わりに、一万円金貨が贈呈されるということになります。
ちなみにこの一万円金貨は、純金製で15.6g(1/2トロイオンス)なので、金の小売価格に直すと約6万7千円になります(2012年3月13日 田中貴金属金地金小売価格 4,310円/g)。但し、日本の貨幣を毀損すると法律に触れるので、貨幣価値としては、あくまでも1万円です。
復興支援のための資金供給の方法はいろいろ
損得計算はしてみたものの、復興のための資金供給は確かに必要なことです。「個人向け復興応援国債」は、投資とは別に「復興を応援する気持ち」という要素も考慮しなければなりません。ただ、私が思うのは、復興支援のための資金供給の方法はいろいろあるということです。「個人向け復興応援国債」を通して、1,000万円を国庫に預けて、有効に活用されるのを見守り、復興応援の証として記念貨幣を手にするもの1つの方法でしょう。また、1,000万円ではなくても、今、手元にあるお金のいくらかを復興支援の活動に供給し、感謝の言葉を直接貰うのも、別の方法として考えられます。