株式戦略マル秘レポート/戸松信博の「海外投資、注目銘柄はここ!」

欧州危機で大幅下落中のドイツ優良株を狙え!(2ページ目)

欧州危機によって欧州各国の株価は大幅に下落中です。しかし、欧州の中でもドイツには世界に名だたる企業が数多く上場しており、株価が下がったところはチャンスと考えることもできると思います。

戸松 信博

執筆者:戸松 信博

外国株・中国株ガイド

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高い利益率を持つドイツハイテク企業

ここで半導体の会社であるインフィニオン・テクノロジーズ(フランクフルト:IFX,ニューヨーク:IFNNY)を見てみましょう。

同社は車載用半導体で世界2位、産業向けのパワー半導体で世界首位、その他個人認証などのチップカード&セキュリティー製品を提供しており、カード向けチップ世界1位です。

インフィニオンはドイツの総合電気大手のシーメンスから分離独立した会社で、一時は業績不振な時代もありましたが、不採算事業の汎用半導体メモリを切り離し、身軽になってから精鋭部門が残って利益率がどんどん上がっています。

2011年の同社株はDAX指数とほぼ同じ動きとなっていますが、同社は典型的な景気サイクル敏感株で、次の景気回復局面での上昇はDAX指数を凌駕すると期待ができます。2000年のITバブル崩壊時、2008年の金融危機時の同社株は指数以上に大きく下がりましたが、底打ち後の上昇は指数を大きく上回ります。

日本でも機械銘柄の一部や半導体関連などで同様に景気後退期に大きく下がっては、底打ち後に圧倒的に上昇する銘柄がいくつもありますが、同じような感覚で捉えることができるのではと思います。

企業向けソフトウェア販売の世界大手、SAP

もう一つハイテク銘柄から、企業向けソフトウェア販売の世界大手、SAP(フランクフルト、ニューヨーク:SAP)を見てみましょう。同社の売上の7割は各種ビジネス向けソフトウェアのライセンス販売からで、22%はコンサルティングサービスです。販売先はドイツ国内が18%に留まり、あとは残りの欧州、米国、日本、その他アジア、中南米でバランスよく分かれています。販売拠点は世界50ヶ国に及ぶグローバル企業で、ライバルは米国のオラクル社が有名です。

2011年12月初めに同社は企業向けクラウドベースの人事・総務ソフトウェアのSuccessFactors社を34億ドルで買収すると発表し、買う側のSAPの株価は定石通りプレミアム価格をつけた買収額提示の分だけ少し下がりました。一方で業界全体には買収合戦を期待して株価上昇となりました。買われた方のSucessFactorsの株価は買収額に鞘寄せするので当然ながら51%も大幅上昇しました。

2002年の従業員数2万8800人から昨年は4万6300人へと増加しているように、業績は順調に伸びています。そして業務のコントロールや効率化を推進するソフトを開発している会社らしく、自らの利益率も高いレベルで安定しています。今期もこれまで順調に各種利益率を向上させており、成長率では売上が14.4%増、一株利益では84%増が見込まれているところです。さらに来期においても10%程度の増収増益が見こまれています。

指数が大きく下がる局面での下落は避けられませんから、下がるのを待って購入タイミングを計ることになりますが、今から注目しておいて良い銘柄でしょう。

参考:日本人が知らなかった海外投資 米国株

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