バラエティに富んだ地鉄の車両たち
まずは、14760形、14720形、10020形。多くは、「だいこん電車」という愛称を持つ地鉄オリジナル塗装の電車だ。これは富山の県鳥である雷鳥をイメージしたカラーだと言われている。地鉄全線で広く活躍している。
映画では、落雷の影響で立ち往生した電車が「だいこん電車」だ。
10030形。元京阪特急のテレビカーで「かぼちゃ電車」の愛称を持つ。富山地鉄への譲渡後もしばらくはテレビが使われていたが、今ではテレビは取り外され、塗装も京阪オリジナルではない。京阪と地鉄では線路幅が異なるため、足回りは他の車両のものである。しかし、元特急車両だけあって車内のグレードは高い。両数も多いので、目下、地鉄の主力として活躍している。
映画では、急病の同僚の代理で主人公(三浦友和)が運転した電車として登場する。
16010形。元西武の特急専用車両だった「レッドアロー」。西武時代は6両編成で活躍したが、地鉄転入時は3両編成となった。その後の沿線人口減少に伴う乗客減の影響で中間車が外され、機器の改造を経て、昨今は2両編成で走っている。当初は電鉄富山~宇奈月温泉の特急「うなづき」、立山~宇奈月温泉を結ぶ「アルペン特急」に使用されたが、今では特急のみならず普通列車にも幅広く使われている。
映画では、三浦友和演じる主人公の電車運転士が、冒頭のシーンと定年を迎えた最終日に運転した車両が「レッドアロー」だった。また、中尾明慶演じる同僚の新人運転士は、子供の頃、西武のレッドアローが好きで、わざわざ埼玉から富山地鉄に就職したというエピソードが語られる。「レッドアロー」は、映画の中ではかなり重要な脇役である。
地鉄沿線は、富山市市街地から広々した田園地帯を走る。やがて雄大な北アルプスのふもとを走り、山岳地帯にさしかかり宇奈月温泉や立山に至る。春は満開の桜やチューリップ畑が線路際を彩り、変化に富んだ車窓が楽しめる。