強皮症とは
皮膚の成分で線維が増えて、硬くなります
強皮症の原因と疫学
この病気の患者は日本では6,000人以上いると言われ、軽症などを含めると1万人を超えると言われています。原因は不明で、遺伝子の関与も指摘されていますが、特定の遺伝子ではなく、多くの遺伝子の関与と環境因子によって発症すると思われます。他の膠原病と同じで、自分を攻撃する自己抗体が作られることで、線維を作る細胞(線維芽細胞)が活発になり、血管などが炎症を起こして様々な症状を起こします。この病気は、子供に少なく、30~50歳代、特に女性に多い病気です。男:女の割合は1:9です。70歳以降の高齢者でも発症します。
強皮症の症状
手足と、内臓、特に肺と腎臓、食道に症状が現れます。■手足の症状として
- レイノー症状:冬に見られやすく、冷たいものを触ったり冷気に増えると指が青白くなったり、紫色になります。
- 皮膚硬化:指が腫れたような感じになります。手のこわばりを感じます。女性に多いので、指輪が入らなくなったことでおかしいと思うことが多いようです。中には、指から手、腕、体と広がってくることがあり、びまん性全身性強皮症と分類されます。
- 爪に黒い出血した点
- 指先が少し凹んだ状態
- 指先の潰瘍
- 毛細血管が拡張し、皮膚が赤くなる
- 皮膚に骨のように硬くなった部分ができる皮膚の石灰沈着
- 皮膚の色が黒くなったり、白くなる
- 手足が曲げにくくなる
- 関節痛
■内臓の症状として
- 肺が硬くなる肺線維症:肺での酸素の取り込みができなくなり、息苦しくなったり、痰の絡まない咳が出ます。進行すると、在宅で酸素吸入をしないといけなくなります。痰の絡んだ咳が出た時は、肺炎などを合併していることがありますので、要注意です。肺への血圧が上がる肺高血圧もあります。
- 腎臓の血管による強皮症腎クリーゼ:クリーゼは、「crisis」と言って、危機という意味です。急に起こってくる致死的な症状をクリーゼと呼んでいます。腎臓の血管に障害が起こってしまい、腎臓では血圧をコントロールしているのですが、それができなくなり、急に高血圧が起こります。急な高血圧は、吐き気、頭痛を訴え、時に出血の原因になります。
- 食道が傷む逆流性食道炎:食道の胃に近い部分が硬くなり、胃の胃酸が食道に上がってしまい、食道が炎症を起こし、胸やけ、胸のつかえ、逆流感などがあります。
- 便秘
- 下痢
胃酸が逆流すると「胸やけ」をします
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